特に中学生の場合、出席日数不足による高校受験への影響も気になる人もいるのではないでしょうか。
一方で、近年の不登校児童生徒数の急増に伴い、学校に登校せずとも一定の条件をクリアすることで出席扱いにする制度の拡充が進んでいます。
今回は、不登校でも出席扱いになる「出席扱い制度」の現状や条件をお伝えするとともに、学習をサポートしてくれるサービス・フリースクールをご紹介します。
不登校生の出席扱い制度の現状
子どもが不登校になる背景には、実に様々な要因や背景があります。その中には学校には通えないけれど、進学はしたい、勉強したいなどの意欲を持っている子どももいます。
そういった子どもたちの「チャレンジしたい気持ち」をサポートするために、文部科学省は令和元年に「出席扱い制度」を発表しました。
この制度は小学校・中学校の児童生徒を対象に、一定の条件を満たしICT等を使ったオンライン学習を行うことで、学校の出席扱いになるというものです。近年の不登校児童・生徒の傾向を受け、文部科学省が「学校に復帰する」ことをゴールとせず、子どもそれぞれの社会的自立のサポートを求めていることから認知されはじめました。
令和3年度の実績を見てみると、小学校では不登校児童数81,498人の内4,752人、中学校では登校生徒数163,442人の内、6,768人が本制度で出席扱いとなっています。全体数から見ると約4~5%にとどまっており、まだまだ浸透しているとは言えない状態ではありますが、年々増加の一途を辿っています。
引用:文部科学省『令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』
出席扱い制度の目的
出席扱い制度はスムーズな学校復帰ができるよう設けられた制度です。登校しない間、授業を受けずにいると勉強の遅れが出てしまいます。分からないことが多くなれば、学校復帰へのハードルはより高まるでしょう。再び「学校へ通いたい」と登校しても、授業内容についていけないことが挫折の原因にもなりかねません。自宅学習を認めることで、登校する意欲の向上を期待し設けられた制度です。
参考:小学生の不登校の原因
参考:中学生の不登校の原因
不登校生が出席扱いになる条件
本項目では、不登校生が出席になる条件を紹介します。実際に制度の利用を希望する場合、まず学校に申し出る必要がありますが、まだ制度ができてから日が浅いこともあり、実際に制度を利用したことがない学校も多いでしょう。
まずは保護者が制度についての理解を深め、学校と密に連携しながら制度の活用に向け進めていくことが大切です。
対象年齢
まず前提として、出席扱い制度を利用できるのは小学校・中学校の児童生徒のみという事です。残念ながら高等学校の不登校生徒は対象外となります。
7つの要件
出席扱い制度を利用するには、以下の7つの要件を満たす必要があります。条件が多いと思うかもしれませんが、適切な教材を用い適切な学習を受けおり、尚且つ学校と連携が取れていれば、この制度の条件に該当する可能性があると言えるでしょう。
- 保護者と学校の関係が十分に緊密であること
- 学習活動がITなどを活用することによって提供されていること
- 対面指導が適切に行われること
- 計画的な学習プログラムであり、学習の理解に基づいていること
- 校長が対面指導や学習活動を十分に把握していること
- 学校外の機関や施設で相談や指導ができない場合に行う学習活動であること
- 学習活動の評価は、学校の教育カリキュラムに基づいて判断すること
ただし、該当生徒を出席扱い制度の対象にするかどうかを判断するのはあくまでも教育委員会や学校です。
まずは担任に相談、学校と連携をしながら進めていきましょう。
引用:文部科学省
出席扱い制度利用までの流れ
続けて出席扱い制度利用までの流れをお伝えします。担任に相談
まずは、子どものクラス担任に相談をしてみましょう。出席扱い制度について詳しくない場合、文部科学省の資料などを見せ、制度の説明を交えながら相談する必要があります。
学校内で協議
担任から教頭や校長に話を通してもらい、制度の要件を満たしているかどうか校内で協議が行われます。保護者に対し質問が行われる場合もあります。
出席扱いとなる条件を話し合う
制度を利用することが決まった後、出席扱いになるよう、本格的に細かい条件を確認します。使用する教材や学習内容の確認、学習履歴の提出方法などを取り決めます。
制度の適用スタート
ここまで来てようやく出席扱いがスタートします。しかし『対象として認められた』だけでは、出席認定にはなりません。
引き続き学校との密な連携や、学習履歴の提出などが求められるため、子どもが継続して学習に取り組める環境を整えていきましょう。
不登校でも出席扱い制度をサポートしてくれる学習サービス・フリースクール
ここまで出席扱い制度を適用するための条件や流れを説明してきました。正直、保護者だけで対応を進めることに不安を覚えるケースもあるかもしれません。
そんな時に頼りになるのが、出席扱い制度をサポートしてくれるオンライン支援学習サービスです。
出席扱い制度の条件をクリアしているのはもちろん、教材によっては学校への提出が必要な学習履歴を自動で記録できたり、制度利用に向けて相談に乗ってくれたりといったサービスがあります。
ここでは、おすすめの学習サービス・フリースクールを4つご紹介します。
参考:不登校生徒におすすめのオンライン塾・家庭教師
家庭教師の銀河
家庭教師の銀河は、「自立」を促す指導が特徴のオンライン家庭教師です。
不登校児童・生徒への指導実績も持っており、お子さまの心理や学習意欲、レベルなどに合わせて、無理なく指導してくれるでしょう。
また家庭教師の銀河が得意とする自立を促す指導は、学習を通じて小さな成功体験を積み上げていく学習法。そのため自信を失いがちな不登校児童・生徒でも「やればできる」を実感でき、次のステップを踏み出すきっかけになることを期待できます。
「24時間対応の映像授業」「LINEでの質問対応」など、学習サポートも充実しているため、無理なく自分のペースで学びを深めていけるでしょう。
対象学年 | 小学生・中学生・高校生 |
費用 | 小学生の授業料:1,375円~ 中学生の授業料:1,375円~ 高校生の授業料:1,815円~ |
学習形態 | オンライン個別指導 |
コース | ・中学生コース ・高校受験コース ・高校生コース ・大学受験コース |
サポート体制 |
・兄弟受講は2人目無料 ・LINE学習支援 ・24時間対応の映像授業 |
特徴 | ・自立にこだわった指導 ・不登校児童・生徒への指導実績あり |
運営会社 |
株式会社Well-stone |
公式HP | https://well-stone.info/ |
すらら
すららは、経済産業省が進める「未来の教室実証事業」に採用されている通信教育システムです。
「すららコーチ」と呼ばれる専門のコーチが、その子に合った学習計画を立て進捗を管理してくれるのはもちろん、保護者の相談にも乗ってくれます。また、出席扱い制度に向けたサポートも充実しており、学校への説明資料や必要書類も用意されているため、保護者にとっては心強さを感じるでしょう。
すららは学校向けICT教材として全国の中学・高校などでも導入されていることから、学校の理解も比較的されやすいのかもしれません。
これまでに累計300人以上の児童・生徒が、すららを使用して出席扱い制度の認定を受けた実績があるそうです。
対象学年 | 小学1年生~高校3年生 |
費用 | 入会金7,700円~、月額8,228円~ |
学習形態 | パソコン、タブレットによる学習 |
コース | 3教科コース 4教科コース 5教科コース |
サポート体制 | ・質問&アナウンス機能で分からない部分はすぐに質問できる ・メールやLINEで子どもの学習状況について保護者からも相談できる |
特徴 | ・無学年方式で、自分のレベルに合わせた学習ができる ・コーチが学習進度を管理、個別に学習計画を立ててくれる ・出席扱い制度導入までのサポートあり |
運営会社 | 株式会社すららネット |
公式HP | https://surala.jp/ |
オンライン家庭教師ピース
オンライン家庭教師ピースは、不登校サポートを提供するオンライン家庭教師。
「子どもがなかなか学校に行けない」「どんどん勉強が遅れてしまう」といった不安や悩みに寄り添った学習支援が魅力です。
学習は、年齢の近い講師が担当に付き、信頼関係を築くところからスタート。いきなり勉強モードで授業を開始するのではなく、まずは趣味や悩みの相談から始めるため、子どもも大きな抵抗を感じることなく家庭教師サービスに馴染めるでしょう。また躓いたステップから焦らずじっくり基礎固めしていく点もオンライン家庭教師ピースならでは。少しずつ解ける問題が増えていくことで、子どもの自信につなげていきます。
さらに勉強習慣を身に付ける学習計画の立案など、授業がない日でも勉強に取り組める環境を用意。毎日できる量から少しずつ机に向かう習慣付けを目指すため、無理なく勉強習慣を取り戻せるでしょう。
なお、不登校サポートコースの料金は、通常の小中高校生向けの料金と同額です。
通常料金と同額にもかかわらず、不登校児に特化したサポートを受けられるため、保護者にとっても経済的な負担を軽減できるでしょう。
クラスジャパン小中学園
クラスジャパン小中学園は、ネット上のフリースクールです。オンライン上での映像授業が提供されていることはもちろん、ネット部活動・ホームルーム・体験学習など、実際の学校に近い環境や場が多様に設けられており、オンラインながらも学校のように教師や他の生徒と交流ができます。
さらに担任制度を採用しており、ネット担任が1人ひとりをサポート、学習進度や生活面、進路や将来の夢まで、相談に乗ってくれます。
また、クラスジャパン小中学園は不登校児童生徒の支援を目的に開校したフリースクールのため、出席扱い制度に関するさまざまサポートも提供されています。
例えば、学校が出席と認めやすい学習コンテンツの提供や独自の学習レポート発行などがあります。さらに学校からの依頼によっては、定期テストをネット担任の監視のもと自宅で受けられるサポートもあります。
対象学年 | 小学1年生~中学3年生 ※未就学、高校生も参加可能 |
費用 | 入会金:11,000円、月額27,500円 |
学習形態 | パソコン、タブレット、スマートフォンによる学習 |
コース | - |
サポート体制 | ・ネット担任がチャットで毎日声掛けをしながらフォローする体制で、安定的な学習ペースを整える ・オンライン保護者会やLINEオープンチャットなど保護者が相談したり情報収集したりできる場が豊富 |
特徴 | ・ネット担任が居場所づくりや学習面などをトータルサポート ・複数のネット教材から状況に合わせて選択可 ・出席扱い制度についての手厚いサポートあり |
運営会社 | 合同会社和ーなごみ |
不登校に関するよくある質問
不登校がどのようなものかや、不登校になるとどうなるかなどを知っていると、今後の対策を実施しやすくなります。不登校についてのよくある質問と、その回答を見ていきましょう。不登校は何日休むとなる?
文部科学省では、「不登校」の定義を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」としています。参考:不登校の現状に関する認識
高校生の場合は出席扱いになっても卒業できるとは限らない?
高校を卒業するには、定められている単位の取得が必要です。出席扱い制度を利用すれば出席日数は満たせますが、単位取得はできません。単位を取得するには試験を受けるのが一般的です。学校によっては補講を受けたり、課題を提出したりすることで、単位を取得できる場合もあります。
ただし対応は学校ごとに異なるため、義務教育の小中学校より綿密に学校と連絡を取り合う必要があるでしょう。学校によっては単位取得のためのサポート体制が整っておらず、出席扱い制度で出席日数が足りていても卒業できない可能性もあります。
出席扱い制度を利用する場合の内申点はどうなる?
出席扱い制度を使った場合の内申点は0~5のうちの「1」です。自宅学習で優秀な成績を取れる実力を身に付けている場合でも、現状では内申点が1より高くなることはありません。2~3点を取るには適応指導教室へ通ったり、別室登校をしたりしつつ、定期テストを受けなければいけませんし、4~5点を目指すなら学校復帰が必要です。
参考:不登校でも学力を上げられるオンライン塾
不登校生の出席扱い制度 まとめ
不登校であっても、自宅学習をコツコツ頑張っている子どもの様子を見ていると、「その意欲を認めてほしい」「進学希望を叶えたい」という思いも出てくるでしょう。出席扱い制度は、クリアする条件がたくさんあり一見するとハードルが高そうですが、1つずつ条件をクリアしていくことで、不登校からの次の一歩を踏み出せるでしょう。
またご紹介したような、実績のある学習支援サービスも一昔前と比較して多数展開されています。
子どもの可能性を広げたい、不安要素を減らしたい場合には、出席扱い制度の利用にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
不登校の生徒の学習方法や、受験対策の方法として注目されているのがオンライン塾です。 この記事では、不登校の生徒の学習にオンライン塾を利用するメリット、不登校の生徒向けのオンライン塾を選ぶポイントとおすすめのオンライン塾を紹介します。不登校の子どもの勉強方法でお悩みの際には、ぜひ参考にしてください。
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