この記事では、デスマーチの意味や原因、デスマーチを打破するための方法についてわかりやすく解説します。現状を変えたいと思っている場合には、まずは原因を知ることから始めてみましょう。
デスマーチの意味を知ろう!
デスマーチとは、現場に人員や予算、休みなどが不足している状況を指します。主にシステム開発の現場で用いられており、アメリカのプログラマーが提唱した言葉であるといわれています。直訳すれば「死の行軍」を意味し、300~500時間ほどの過酷な労働時間で休日もまともにとれない状況になります。懸命にシステム開発を行っても完成できず、絶望的な状況に陥っていることがデスマーチだといえるでしょう。家に帰れない日が続き、会社で寝泊まりする社員も少なくない状況になります。
デスマーチになると何が起きる?
現場がデスマーチの状況に陥れば、社員が心の病を患うこともあります。仕事が原因でうつ病を発症すると、早期の復職は難しい場合も。十分な休息がとれないために、体調不良になる社員もいるでしょう。その結果、現場で人員は常に不足し、働ける社員に負荷がかかる状態が続くようになります。極限まで追い詰められた結果、突然次の日から仕事に来なくなる社員もいるようです。過重労働によって、労災問題にまで発展する企業もあります。人員が欠け、納期通りに納品できなければプロジェクトは失敗も終わります。そうなれば、顧客の信用を失うことにもつながるでしょう。
デスマーチになる原因
デスマーチになる原因として、以下の理由が挙げられます。- システムエンジニアが慢性的に不足している
- 開発期間不足の問題
- 予算が足りない
- 顧客のニーズが多すぎる
- 低品質によるやり直し
システムエンジニアの人員が足りないだけではなく、スキルが不足しているために納期内に全機能を実装できない場合もあります。開発現場において、プログラムを書けないエンジニアが働いていることも少なくありません。
また、開発段階で顧客のニーズが追加されることで、思うようにシステム開発が進まない現場も多くあります。顧客のニーズをシステムに導入することは重要ですが、「納期内にどこまでが実現可能か」を明確に提示しておく必要があるでしょう。
さらに、応援の人員を追加したとしても、デスマーチを生んだ原因を究明しなければ同じことを繰り返すケースもあります。
デスマーチがなくならない理由とは
デスマーチがなくならない理由のひとつに、顧客からの無茶な要求が多いことが挙げられます。たとえば、プロジェクトの開発工程やテスト工程の段階で何度も顧客から追加でお願いされてしまうと、システムの前工程から見直さなければならなくなり、時間や人員をもう一度確保する必要があります。さらにシステムエンジニアの慢性的な人で不足から、十分な人員を確保できないことも考えられます。さらに最初に要求したシステムと開発側の認識にズレが生じると、プロジェクトの途中で仕様の変更を行わなければなりません。このようなトラブルを防ぐためにも、顧客の要件定義をしっかりヒアリングして細かいすり合わせを行うことが大切です。
デスマーチの状況を打破する方法
デスマーチを打破するためには、いくつかの方法があります。心身ともに疲弊しきってしまわないよう、対処法を理解しておきましょう。システムを開発する前に意見をすり合わせる
開発途中での仕様変更が起こらないよう、案件を受注する際にすり合わせを丁寧に行っておく必要があります。顧客から無理な要請がある場合には、システム開発を始める前に相談したうえで調整するよう心がけたいですね。PMOを作る
PMOとは、プロジェクトマネジメントオフィスを意味します。PMOはプロフェッショナルな人材が務めることが多く、プロジェクト全体の障害を取り除きます。プロジェクトに参加するメンバーのスキルが最大限発揮できるよう、PMOが戦略的にコミュニケーションをとることで、プロジェクトが安定して進行するでしょう。ピアレビューを行う
ピアレビューとは、従業員同士がさまざまな段階でお互いをチェックすることを指します。従業員同士で漏れや問題に気付くことで、工数を削減できるといわれています。ピアレビューを行うことで納期にも間に合いやすくなり、社員同士のコミュニケーションをとるきっかけにもなるでしょう。転職を検討する
デスマーチの状況は、簡単に変えられない企業も多くあるでしょう。「予算はこれ以上出せない」「人員は増やせない」と上司から言われれば、それに従うしかない場合も。現在の職場でデスマーチの状況から抜け出すことが困難な場合は、転職を検討することも1つの方法です。コンサルタントが手厚く転職支援をしてくれる転職サイトなら、多忙な業務の合間でもスムーズに次の転職先を見つけやすいことがポイントです。
どこを主戦場にするかを明確にして、デスマーチからの脱却を
転職をすれば現状から抜け出すことは可能ですが、何よりも「自分がどこを主戦場にするのか」を明確にしておく必要があります。自社で働き続けていきたいという強い意志を持つなら、デスマーチを打破するためにまずは上司や周囲の人達と意見をすり合わせることが重要です。「キャリアアップを目指す」「本当にやりたい仕事に関わる」など明確な目標があるなら、別の主戦場を探したいですね。