映画やゲームにおいても「人工知能が人間の知能を凌駕する」ことをテーマにした作品は、いくつも発表されてきました。そのような作品を目にして、来るべき日の人工知能との付き合い方について思いを巡らせる人もいるでしょう。この記事では、AIやシンギュラリティの意味について、わかりやすく解説します。
AIとは?
シンギュラリティを理解するために、まずはAIについて理解を深めましょう。AIは人工的に作られた、知能を持つシステムだとされています。一般的に、AIは汎用型と特化型に分類されます。汎用型のAIが幅広い課題を処理できる能力を持つのに対し、特化型は処理できる課題が限られます。ビジネスシーンで利用されている大半のAIは、特化型です。AI技術が研究されるようになったのは、第1次AIブームと呼ばれる1950年代。決められたルールのもとなら、コンピューターが問題に対する回答を導き出せるようになりました。第2次AIブームの1980~1990年代には、特定の領域において情報を詳細に導き出すことに成功しています。
そして、第3次人工知能ブームが起こった2010年代に、AIはビッグデータを集積できるようになりディープラーニングは飛躍的に発達しました。ディープラーニングとは、人間の力を借りずに人工知能が情報をもとに考え、自ら学習することを意味します。
AIが活用されているシーン
AIが実際に活用されているのは、以下のようなシーンです- チャットボット
- 書類選考ツール
- PR効果測定ツール
- 農業AI
- AIアシスタント
また、AIが活用されているシーンとして大きな注目を集めたのは、「アルファ碁」です。2016年には、AIが世界トップのプロ棋士に勝利を収めました。アルファ碁には、自身で学習するディ―プラーニングと呼ばれる技術が導入されています。
シンギュラリティとは?
シンギュラリティとは、AIが人類の知能を超える「技術的特異点」を意味します。現時点では、シンギュラリティを迎えるのは2045年という説が最も有力だとされており、「2045年問題」ともいわれ物議を醸しています。これは、アメリカの数学者であるヴァーナー・ヴィンジが提唱した説です。シンギュラリティが起こるとどう変化する?
シンギュラリティが起こると、以下のような変化が起こるといわれています。- 仕事の内容が変わる
- 失われる仕事がある
- 教育現場が変わる
- コンピューターが暴走する
- 人間の臓器を人工物で代替する
さらに、AIが進化を続けることで、コンピューターが暴走する可能性もあるとみられています。マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツは「AIが暴走することは核戦争より危険かもしれない」と訴えています。
人間の脳や臓器を人工物で代替した場合には、脳がデジタル解析できるようになるといわれています。人工関節はすでに医療の現場で取り入られているように、臓器を人工物で代用できるようになれば多臓器不全による死因はなくなるのでは、と示唆されています。
シンギュラリティは本当に実現するの?
シンギュラリティが実現するためには、以下の法則に注目する必要があります。- 収穫加速の法則
- ムーアの法則
しかし、人口知能学会会長の山田誠二さんは、AIについて以下のように話しています。
NWF:機械学習ができはじめたということで「AIが幼稚園レベルになった」と言われますが、実際のところはどうなのでしょうか?引用:ARTICLES
山田:幼稚園児にもなっていないです。まだ1歳くらいかな。幼稚園児は人間の行動を見て理解できるし、嘘をつくこともできますが、まだAIはそういうことができません。
「人間と同等のレベルの日常会話もAIにはまだできない」ことを指摘したうえで、2045年にシンギュラリティが起こるといわれているのは根拠がない情報であると説明しています。
未だ未解明といわれている人間の脳科学の解析が進めば、AIも飛躍的に進化するといわれています。
シンギュラリティの前に来るインパクトとされる「プレ・シンギュラリティ」とは
シンギュラリティの前に来ると予想されているインパクトは、「プレ・シンギュラリティ」と言われています。プレシンギュラリティーとは社会の仕組みが大きく変わる時点である「社会的特異点」を意味し、シンギュラリティ(技術的特異点)が起きる前の段階で起こると言われています。「プレ・シンギュラリティ」が起こると、以下のようなことが始まると言われています。- 人間の体内に細菌よりも小さなナノボットを注入し、健康管理をするようになる
- 人間が働かなくても生活できる
- エネルギー問題が解決され、政府から無償で提供される
AIと共に歩む未来へ
シンギュラリティの実現については多くの専門家の間で賛否両論ありますが、AIと未来を共に歩むことは間違いないでしょう。現在も、介護の現場や生活の一部をAIが助けている場面は多くあります。すでに生活に浸透しているAIの利用方法をまずは理解したうえで、AIと上手に付き合っていく道を模索していきたいですね。