これは「IoT(Internet of Things)」と呼ばれ、いま世界中で注目されている技術です。もちろん日本経済にも大きな影響を与えるものといえます。これからの生活を大きく変えるIoTを詳しく知り、IoTを生活に取り入れることで起こるメリットなどを説明します。
1.IoTとは?将来の社会がどう変わる?
そもそもIoTとは、あらゆる“モノ”がインターネットを通じてネットワークとつながり、サーバーやクラウドに接続することで、従来は実現できなかったデータの処理や分析などができるようになる仕組みです。IoTによって収集したデータをAI(人工知能)で分析することによって、これまでになかったサービスが生まれることが予想されます。例えば、IoTによって自動化が進んでいる代表的な業種に、製造業があります。
慢性的な人材不足が課題となっている中小企業の工場において、IoT活用による効果は絶大です。
40台以上の成形機を運用している群馬県のある企業では、成形機の稼働状況に関するデータを取得する仕組みを構築し、さらに工場や事務所のいたるところにネットワークカメラを設置しました。これにより、各成形機の状態をどこからでも確認することが可能になり、製造ラインの24時間365日稼働を、少人数のスタッフで実現させています。
このように、IoTによって様々な分野で効率化が図られ、より良いサービスが生まれることが期待できる反面、雇用面では人手が不要となるため、自動化が進むと製造業やサービス業の一部の仕事が機械に代わられる可能性があります。
雇用や業種、サービスなど、IoTが普及した将来の社会では、今“あたりまえ”に存在していることが変化してしまうかもしれませんね。
2.IoTによって身近に起こる革命
IoTの導入が進むと、私たちの身の回りはどのように変化するでしょうか。毎日の生活はより快適で便利になるはずです。外出先にいるときや長期間家を空けるときには、家の様子が気になりますよね。IoTを利用すれば、スマホやパソコンの画面でセキュリティ状態や家電の使用状況を確認し、簡単に操作することも可能になります。これらはすでに多くの企業がサービス化しており、エネルギー機器や家電、鍵などをすべて制御できる「スマートハウス」を売り出している大手ハウスメーカーも複数あります。
ここでひとつ、革新的な商品を紹介しましょう。
大手ネット通販サービス会社のAmazonが提供する『Amazonダッシュボタン』は、商品を“ボタンひとつで”注文できるサービスとして話題になりました。扱われているのは日用品や食料品で、2017年12月時点で130種類以上の商品が対象となっています。
使い方はとてもシンプルで、必要になったときに、その商品を登録したボタンを押すだけです。ボタンはWi-Fiに接続できる場所ならどこでも設置でき、事前に登録した支払方法で決済されます。
宅配サービスのデメリットは、自宅を不在にしがちな人が受け取りづらいところにありますが、これもIoTを活用した宅配ボックスを利用することで解消される問題です。様々なサービスを組み合わせ、自分に合った形で利用することで、私たちのライフスタイルに革命が起こる未来も見えてきます。
3.IoTによって変わる経済と、広がる世界市場
IoT技術は、経済産業省や財務省も注目しています。IoTが一般的に普及すれば、単純に様々な作業やサービスの利便性が向上するだけでなく、日本経済の活性化にもつながることは想像に難くないでしょう。事実、経済産業省はIoTの普及について前向きで、「IoT推進ラボ」などのイベントも開催しています。病院などの医療施設でも、IoTの利用が検討されていることもポイントです。IoTを利用して患者の体調をモニタリングしたり、機器の操作をしたりすることができるのであれば、病人やけが人への迅速な初期対応ができるのではないでしょうか。これにより、経済に大きな影響を与えている医療費のバランスが変化することも予測されます。
また、前述のとおり、IoTを利用すれば離れたところにある物や機械を動かしたり、確認したりすることができるので、いちいちその場所に出向く必要がもなくなります。これによって、今までかかっていた輸送費や交通費などが大きく削減できるだけでなく、消費するエネルギーの削減にもつながることが想像できるでしょう。
総務省が発表している「平成27年版情報通信白書」にも、「IoTは様々な産業や分野への浸透を通じて、大きな経済的効果をもたらすと予想される」という記述があります。そのなかでも引用されている、IDC(International Data Corporation)による調査では、2014年には約6,500億ドルだった世界のIoT市場規模が、2020年には1.7兆ドルにまで膨らむと予測されているほどなのです。
4.IoTを便利に使うために
身近なIoTを便利に利用するためには、プログラミング的な知識を持っていると良い場合が多くあります。たとえば、スマートホーム製品はひとつのトリガーに複数のアクションを設定することが可能です。スマートスピーカーに「ただいま」と言ったらリビングの電気をつけ、エアコンのスイッチを入れ、テレビもつくようにする。この「ただいま」の部分を、「自宅から半径500mに入ったら」というように変更することも可能かもしれません。
何をしたら(=トリガー)、何が起こる(=アクション)のか。これはプログラミングを行う際の基本的な考え方です。そのため、プログラミング的な思考力を養っておくことで、IoT製品の活用方法を見つけやすくなることでしょう。実務でプログラミングを使わない場合でも、プログラミングを学習しておくことは生活や仕事の上で役立つのです。