この記事では「データサイエンティストはなくなる」とまことしやかにささやかれている理由とその真偽について、具体的な理由にも触れながら徹底解説していきます。
データサイエンティストはなくなるって本当?将来性を解説
一部では「将来性が低くそのうちなくなる」と言われていますが、結論データサイエンティストは今後も高い需要を維持し続けていくと考えられます。というのも、数々の企業が現在進行形でデータサイエンティストの採用に努めている真っただ中だからです。一般社団法人 データサイエンティスト協会の調査によれば、2020〜2021年の1年間で41%もの企業がデータサイエンティストを増やしたとのデータも出ています。
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調査が始まった2019年から毎年5割近くの企業がデータサイエンティストを採用していることを考えると、需要が急速に低下していくことは考えにくいでしょう。「なくなる」という意見を過度に心配しすぎる必要はなさそうです。
参考:データサイエンティストはやめとけ?
「データサイエンティストはなくなる」と言われている3つの理由
ここからは「データサイエンティストはじきになくなる」といったネガティブな声が飛び交っている理由について探っていきます。- AIの発展によって自動化が進んできたから
- 職種が細分化される可能性があるから
- 業務を効率化する分析ツールが登場してきたから
AIの発展によって自動化が進んできたから
データサイエンティストの将来性が危ぶまれている特に大きな理由としては「AIの発展」が挙げられます。これまでデータサイエンティストが行なってきたデータの収集・分析といった作業も、AIに任せればいいという考えが広まってきているからです。日々機械的にデータ取りをしているようなデータサイエンティストでは、確かに仕事がなくなってしまうことも懸念されるでしょう。AIを活用する側に回ったり、いっそのことデータ解析作業はAIに任せてその後の仕組みづくりに注力したりと、より高いスキルが求められています。
職種が細分化される可能性があるから
データサイエンティストの仕事はデータの分析をはじめ、データを活用したビジネス戦略の策定やデータ分析環境の構築・運用など、実に多岐にわたります。このことから採用希望の企業が適切な人材をアサインしにくいという問題が発生しているため、今後職種を細分化する可能性も生じてきているところ。経済産業省のIT政策実施機関「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)」が定めるデジタルスキル標準によれば、すでにデータサイエンティストはその役割ごとに以下3つに分類されています。
細分化された職種 | 主な役割 |
---|---|
データビジネスストラテジスト | ・事業戦略に基づくデータ戦略の立案 ・データ活用領域のプロジェクトのマネジメント ・データを活用する業務の設計、見直し |
データサイエンスプロフェッショナル | ・データの処理・解析 ・解析結果をもとにした新規事業の考案 ・現場業務の変革・改善につながる知見の創出 |
データエンジニア | データ分析環境の設計・実装・運用 |
このような職種が一般的になっていけば、大元であった「データサイエンティスト」がなくなることも十分考えられるでしょう。ただしこれはあくまで「データサイエンティスト」という名前が使われなくなるだけで、データサイエンス業務自体が不要になるわけではありません。
業務を効率化する分析ツールが登場してきたから
先述したAIの発展にも繋がる部分ではありますが、昨今データ分析を効率化する各種ツールが登場してきていることも、データサイエンティストの必要性を低下させている理由の一つ。高度なスキルを持ったデータサイエンティストがいなくても、分析ツールの扱いに長けた人材さえいれば、最低限のデータ収集・分析業務は行えてしまうためです。主な分析ツールとしては、以下のようなものが挙げられます。
このようなツールで代替できるような業務を行なっているデータサイエンティストは、今後仕事を奪われてしまう可能性があるでしょう。ツールで導出したデータをもとに具体的な改善策を考案する等、自分ならではの付加価値を付けていくことが重要になりそうです。
データサイエンティストは不足している?飽和している?
そもそも、現状データサイエンティストは十分な数が供給されているのでしょうか。厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」にてデータサイエンティストの情報を調査したところ、その有効求人倍率は「2.77」となっていました。![](https://static.coeteco.jp/coeteco/image/upload/c_limit,f_auto,q_auto,w_1400/v1/cs-product/froala/2iiaa_xdr7VeN9jkXsp3sg.png)
この数値は、求職者一人当たりに対して2.77件の求人が存在していることを表します。つまり、求人の数に対してデータサイエンティストはまだまだ足りていないということ。無くなるどころか人材確保に追われている状況であることがわかるかと思います。
経済産業省の調査を見ても、2030年までに約80万人規模のIT人材が不足するとのデータが出ている状況。この「IT人材」の中には当然データサイエンティストも含まれています。
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このように現在進行形で需要が伸びている職種であることから、データサイエンティストは今後も多くの現場で必要とされて続けていくことでしょう。もちろん、AIや各種便利ツールに淘汰されてしまわないよう、成長していく意欲を持ち続けていく必要があります。
まとめ
当記事では、巷で「データサイエンティストはなくなる」と言われている理由とその真偽について、需要や将来性を示す具体的なデータを用いながら詳細に解説してきました。現代はAIが発達したり、高性能な分析ツールが登場してきたりと、データサイエンティストに対して向かい風の傾向にあることは確か。それでも多くの企業がデータサイエンティストを必要としており、その需要は高まり続けているため、今すぐなくなってしまうということは考えにくいでしょう。
今後はデータを収集・分析するだけでなく、AIや各種ツールを活用する側に回り、より価値のある情報を創出していける高レベルのデータサイエンティストが求められていくようになるはず。現状に甘んじることなく、志を高く持ってスキル向上に励んでいきたいところです。
参考:データサイエンティストになるには