「5G」は実際のところ、何がどのぐらいすごいのでしょうか。
いまの端末でつなげるのでしょうか?(実は、基本的にはつなげません!)
そして、気になる料金はいくらぐらいになるのでしょうか。
この記事では、気になる「5G」について分かりやすく説明します。
5G(ファイブジー)とは?
まずは言葉の意味から解説しましょう。5Gの「G」はGeneration(世代)の意味で、「第5世代の移動体通信」を意味します。
日本の携帯電話の歴史は、1979年に開始した自動車電話サービスからスタートしたと言われます。
1G~2G(1979年~):音声通話専用
3G(2004年~):ドコモのiモードが大ヒットしてメールやwebにアクセスできるようになった。
4G(2010年~):スマホ時代が訪れて移動しながら映画やゲームを楽しんだりWebへのアクセスが普通にできる。
これらにつづく新しい通信規格5Gのサービスがいよいよ携帯キャリア大手各社で2020年3月からはじまったわけです。
5G通信サービスになって進化したのは?
4Gから5Gになって変わるのは大きく下の3点です。高速・大容量の通信ができる!
まず最大のメリットは高速・大容量化です。5G通信サービスの通信速度は10Gbps以上といわれています。
これは現在使われている4Gの約100倍!
どれほど速いかというと、一説では2時間の映画を3秒でダウンロードできる計算になるそうです。
あくまでも最高の速度を示す数字なのでこのとおりにはなりませんが、少なくとも、「スマホで映画を見ていると、画面が止まって鬱陶しい!」なんて不満は解消されそうですね。
遅延が少ない
5Gになるメリットの2つめは「低遅延」にあるといわれます。「遅延」とは、わかりやすく言えば「スイッチを押してから実際に信号が発されるまでにかかった時間」。
これまでの通信でも、個人的に使用するインターネットなどの場合には大きな問題はありません。しかし、このあとで紹介する自動運転などにおいては遅延=事故の可能性を増す結果につながります。
現在の通信方式である4Gでは、遅延が50ミリ秒(50/1000秒)程度。新しい通信の5Gでは1ミリ秒(1/1000秒)未満の超低遅延をめざします。
動作のタイムラグがほとんどゼロになるのが5G通信サービスの特徴といえますね。
一度に接続できる端末の数が増える
5Gでは一つのエリア内で同時に接続できる端末数の数が4Gの約10倍になると言われています。「ライブに行くのが趣味」という方には分かりやすいかもしれませんが、多くの人が一斉にスマホで通信する環境だと通信がつながりにくくなりますよね。
5Gではこの問題が解消するばかりでなく、携帯以外の端末、たとえば自動車同士が通信しあい衝突事故を回避するなどのメリットも期待されています。
たくさんの人や人以外の機械が一斉に通信できるのが5Gの3つめの特徴となります。
5Gが注目される理由とは?
コンピュータやインターネットは「速度への挑戦」を永遠につづける分野ですから、「通信が速くなる」だけでも十分に注目される理由があります。しかし、いま5Gへの注目がぐんぐん高まっている理由はビッグデータやIoTといった最新技術をグンと生活に近づけるからと言われています。
ここでは5G通信サービスが注目される理由について紹介します。
5Gとビッグデータ
5Gはビッグデータを社会に定着させるために大きな役割を果たすと言われます。またもや自動車を例にとってみましょう。
道路混雑状況を正確に測るには、路上を走るすべての車両の位置を知るのが最適です。
何十万台もの車両を把握するのは、これまでの技術ではなかなか難しい現実がありました。しかし、5Gの高速な通信サービスを生かせば「路上すべての車両と通信をとって混雑状況を分析する」のもあながち夢ではなくなります。
5Gの出現はビッグデータが起こす世の中の変革を飛躍的に進める手立てとなってくれそうです。
5GとIoT
5Gの出現はIoT(Internet of Things=モノのインターネット)の普及も支えていくと予測されます。外にいても、ネットを介して家の中の様子をモニターし、家電を操作したりペットにエサを与えたりしてくれるIoT。
テレビ、エアコン、炊飯器、洗濯機、乾燥機、食洗機、ポット、監視用カメラ……数多くの端末が自動的に通信し合い、快適な環境がつくり出されます。
5Gならではの低遅延(すぐにつながる)と多接続(たくさんの端末がつながる)はIoTの用途に最適です。
5G通信サービスのスタートにより、いままでよりも複雑で安全性も高く快適なIoT時代が生まれそうですね。
5Gはどんな風に活用できるか?
5G通信網の実現により製造、小売、運輸、交通、医療、建設、農場、災害対策、インフラ保守、エンタメ、スマートシティなど実に多くの分野で飛躍的なイノベーションが期待されています。ここでは具体的な活用イメージをいくつかご紹介します。
無人・キャッシュレスで買い物ができるスーパー
新しいシステムの店舗では、店内に足を踏み入れた瞬間に顔認証で本人確認が行われます。棚から商品を出してカゴに入れるだけで店舗内にあるAIカメラが確認し、商品の登録が完了します。
店を出れば、電子マネーやクレジットカードから引き落としも完了。レジを通す必要がないまま、買い物ができてしまいます。
こうした無人ショップの実験はすでにはじまっており、5G通信サービスの力を借りて数年後までには一般的になりそうです。
学校で、VRやARを利用した授業
2020年には新型コロナウィルスの影響で日本中の学校が休講措置をとりました。できればあってほしくないことですが、大規模な感染症や災害が日本を襲ったときにも、5G通信サービスの力で通常どおりの授業が続けられます。
5G通信の大容量・高速化はVR(Virtual Reality=仮想現実)やAR(Augmented Reality=拡張現実)の「本物らしさ」をグンと増していきます。
ヘッドマウントディスプレイをかぶると、実際に通学しなくても教室の授業とほとんど変わらない雰囲気で(ふと横を向いたらクラスメートが普通にいる感じ?)授業を受けられます。
自動運転で事故が激減?
ここまでに何度か出てきた自動車の話。人が運転しなくてもいい自動運転の車を実現するために、車両はセンサーで周囲の障害物との距離をたえず計測しながら事故を防ぎます。
道路を走る車両どうしが通信しあって、自然に車間距離を取るスピードを調整する動作ができれば安全性は高まります。
道路状況をトータルに把握すれば「こちらのルートの方が空いている」とルート変更も可能です。
消防車や救急車が通るときにも自動で道をゆずってくれるので、緊急車両がスピーディに現場に向かえます。
ライブやスポーツ中継は自分専用カメラで
ライブコンサートやスポーツ試合を見るときには、「ギタリストだけをじっと見ていたい」「フォワードの動きを研究したい!」なんてときがありますよね。5G時代のインターネット中継なら複数のカメラのなかから選んで自分専用の映像を見られるようになりそうです。
VRやARの利用により現場の圧倒的な迫力を自宅でも経験できるかもしれません。
5G通信はどうすれば使えるか?
では、そんな5G通信を使うにはどうすればよいのでしょうか?5G対応のスマホを購入する
5G通信サービスを使うには、5Gに対応するスマホへの買い換えが必要になります。対応していない機種では、たとえ5Gの契約を結んでも従来どおりの4G通信しかできません。
3月末現在、サムソンGalaxy S20 5GとAquos R5GのAndroid対応の2機種が5G通信に対応しています。
今後も続々と新製品の登場が予定されています。
5G対応「iPhone12」は2020年秋発売?
iPhoneの現行機種はいずれも5Gには対応していません。このため、現状では5G契約をしてもiPhoneで5G通信はできませんのでご注意ください。
ウォッチャーの予測によると今秋発売のiPhone12は5Gに対応するとウワサされています。
気になる料金は?
3月末のサービス開始に向けて携帯キャリア大手3社では5Gプランを発表しています。NTTドコモの「5Gギガホ」プランは最大6ヵ月4,480円/月~
auの「データMAX 5G」プランは6ヵ月間3,460円/月~
データ使い放題で人気エンタメコンテンツがセットのau 5G料金プラン「データMAX 5G ALL STARパック」などを3月26日以降に提供開始
KDDIのニュースリリース データ使い放題で人気エンタメコンテンツがセットのau 5G料金プラン「データMAX 5G ALL STARパック」などを3月26日以降に提供開始
この記事をnews.kddi.com で読む >ソフトバンクの「メリハリプラン」は3,480円/月~
ソフトバンクの公式ホームページです。スマートフォン・携帯電話の「料金プラン」をご紹介します。
この記事をwww.softbank.jp で読む >いずれも割引条件、使用ギガ数が細かく定められているのでホームページ、ショップなどでご確認ください。
「従来の4G通信よりちょっと高いけど、大きく金額が違わない」ような料金範囲で各社しのぎを削りそうですね。
5Gの対応エリアは?
5Gに対応するスマートフォンが増えてきていますが、どこでも5Gの恩恵を受けられるわけではありません。ドコモのサービスエリアマップを見てみると、5Gの利用可能地域は都市部に集中していることが分かります。小規模な都市にも対応エリアは拡大されている印象ですが、少しでも山の中に入ったりすると、5G接続を行なうことができません。もちろんこれからも5G対応エリアは拡大することと思いますが、自分の行動圏内が5Gエリアとなっていない場合は、しばらく5Gの契約を見送っても良いでしょう。
また、5Gに変更したからといっても、使い方によってはその恩恵を受けられない場合もあります。特に高速な通信が必要ないという方は無理に5G対応のスマホを買ったり、5G回線を契約したりする必要はありません。現状の通信速度で満足しているかどうかを考えながら買い替えを検討しましょう。
まとめ|5G時代ははじまったばかり!
大手キャリア3社がいち早く2020年3月からサービス開始し、後発の楽天も6月には提供をはじめる5G通信サービス。夢にあふれた未来図の一方で、現状ではまだ実現への途中にあるサービスも多いようです。
とはいえ今後、大きな流れは5Gに向かっていくでしょう。どんな未来が待っているのか、期待が高まりますね。