進化したIT技術を浸透させることで人々の生活をより良い状態へ変革させることを指します。
学校だけではなく、社会全体で注目されている考え方になります。
この記事ではDXとは何なのか、なぜ注目されているのかなどを解説していきます。
DXとは?簡単に解説
DXとは、2004年にスウェーデンの学者のエリック・ストルターマンが提唱した概念です。DXはデジタルトランスフォーメーションの略称で、進化したデジタルテクノロジーを活用したイノベーション(変革)のことであり、IT技術が浸透することによって人々の生活が変わることを目指す考え方になります。
具体的な例を挙げてみましょう。
役所での手続きを想像してみてください。1つの手続きに膨大な紙の資料や窓口の対面手続きなどが必要となり、「億劫だなあ」と感じたことのある人も多いですよね。
このような役所の手続きにDXが適用されると、複数の窓口での手続きを1度に集約することや書類の電子化などが実現され、手続きの手間を軽減することができます。
「DX」という用語は、「社会のDX化」「学校のDX化」などの形で用いられることもあります。
日本のDX化の動きは?
では、日本でのDX化の動きはどのような状況なのでしょうか。経済産業省は平成30年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を発表しました。
本ガイドラインは「(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」 の観点から構成されています。
また、このガイドラインでは、文書や手続きのデジタル化に加えてITを徹底的に活用し生産性を上げようとしています。
ITツールの導入支援にかかる費用を一部支給する「IT導入補助金」などもあります。
初回の平成29年度には約1.4万件、平成30年度には予算を増額し約10万件の申請を受け付けたそうです。
さらに、経済産業省では、2020年7月8日にはSansanの名刺管理サービスを導入しました。
これにより、職員4000人のDX化をはかりました。
経済産業省「METI DX」
ITmedia エンタープライズ「経産省がSansanの名刺管理サービスを導入 職員4000人のDXへ」
なぜ今、DX化が注目されている?
経済産業省は2018年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を立ち上げました。そこでは「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」がまとめられ、2025年にはレガシー化(老朽化)したシステムが大きな経済損失を出すと指摘されています。
また、現状では約8割もの企業がレガシーシステムを抱えていると指摘されています。
そして、これらの問題をDX化によって改善するとGDPが110兆円アップするともいわれています。
コロナウィルスによる社会変革により、大企業も次々と破産する中、ビジネスモデルや社内システムを変化させなければならない機運が高まっています。また、DXハイスクールという制度も出てきています。
参考資料:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
DX化のメリット
DX化のメリットは、以下の通り。- 業務の効率が良くなる
- 生産性や収益アップが期待できる
- 最適な商品やサービスをスピーディーに提供できる
- 人材不足を解消できる
- 他の企業と戦う力を強められる
- BCP(事業継続計画)対策を充実させられる
DX化により、業務を効率よく行えるようになります。効率化により無駄がなくなれば、生産性が向上し、収益アップも期待できるでしょう。業務の効率化は、顧客へ最適な商品・サービスをスピーディーに提供することにもつながります。DX化は、社会や顧客のニーズ・課題の洗い出し手段としても効果的です。
DX化により業務を自動化できれば、人材不足の解消にも役立ちます。省力化により、リモートワークや在宅勤務などの多様な働き方を叶えることもできるため、働き方改革を行うことも可能です。
DX化が実現できれば、今までできなかったことができるようになり、企業として可能性を広げられるでしょう。新規事業の立ち上げやビジネスモデルの開拓にもつなげることができ、他の企業と戦って勝ち残る力を得る可能性も高められます。
DX化は、BCP(事業継続計画)対策にも欠かせません。BCPとは、災害などの万が一の事態による被害をできる限り小さく抑え、事業を継続もしくは復旧させるための計画です。DX化によりクラウド上に機密情報などの大切な情報を保管しておけば、万が一の事態がおきても継続・復旧しやすくなります。
DX化のデメリット
DX化のデメリットは、以下の通り。- 初期費用やランニングコストがかかる
- 既存システムから移行するのに時間と労力が必要
- 成果が出るまでに時間がかかる
DX化するためには、新しくシステムやツールを導入しなければならず、初期費用がかかります。とはいえ、DX化により得られるメリットを考えれば、必要な投資と言えるでしょう。必要に応じて、前述した「IT導入補助金」も利用して導入を検討するのがおすすめです。
システムを運用するのにランニングコストがかかるのも、デメリットの1つ。DX化による成果はすぐには出ないため、余裕を持って費用を用意しておくといいでしょう。すぐに成果を出すのは難しいというデメリットですが、継続して取り組めば、かけた費用を上回る大きな利益が期待できます。
既存システムからの移行が大変なのもデメリットとして挙げられるますが、あらかじめ対策しておけば問題ありません。あらかじめ移行に人員と時間を割く必要があると分かっていれば、他の業務を減らしたり、無理のないスケジュールを立てたり、適切に対策できます。
実際、 DX化はどこまで進んでいる?
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、「DX推進指標」に対する各企業の自己診断結果についての分析レポートを発表しています。「DX推進指標」は経済産業省によって経産省が2020年5月28日に公表されました。
大規模企業・中規模企業の多くが、DX 推進の変革の項目の半数について、未着手であったり部門単位での試行・実施の成熟度レベルにあるなど、まだまだ目標に対して遅れがみられるようです。
Webマーケティングを行うアントプロダクション株式会社が実施したアンケートからも、約65%は「DXの重要性を感じながら実践できていない」ことが分かっています。とはいえ、DXを「重要だ」と答えた人は約85%もいることから、今後DX化が進むことが期待されます。
とくに小規模企業のDX化があまり進んでいない状況ですが、今後の動きに注目です。
IPA 情報処理推進機構「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」
アントプロダクション株式会社「デジタル技術への意識・DXに関するアンケート」
企業のDX化の進め方
企業のDX化を進める場合、以下の手順で進めていきましょう。1.目的の明確化
2.現状分析
3.DX戦略の策定
4.DX人材の確保と育成
5.実行とモニタリング
1.目的の明確化
DX化のためにまずやるべきことは「目的の明確化」です。経営理念や経営戦略に立ち返り、DXを推進する目的を明確にしましょう。DX化によりどうしたいのかという目的が明確になっていないと、進めるうちに方向性がずれてきたり、経営陣と社員の足並みがそろわなかったりする不具合が生じます。目的を明確にすることで、やるべきこともはっきりするでしょう。2.現状分析
目的を明確にしたら、現状分析を行いましょう。現状分析の手順では、自社のビジネス環境や業務プロセス、ITシステムの現状を分析することが大切です。利益につながる調査は、特に丁寧に行う必要があります。DX化で成果を出したい場合は、成功した企業がなぜ成功できたのかを調べると良いでしょう。成功した要因を分析して実践することで、成果を出しやすくなります。成功した企業だけでなく失敗した企業の分析も行えば、失敗するリスクを下げることも可能です。
DX化で効率化できたとしても、顧客に満足してもらわなければ収益は上がりません。市場や顧客のニーズについてもしかりと調査・分析を行いましょう。
DX化においては、外だけでなく、内にも目を向けることが大切です。自社のリソースを把握し、必要に応じて整理していないと、DX化を進めにくくなったり効果を最大化しにくくなるでしょう。
3.DX戦略の策定
現状分析が完了したら、目的と現状分析を踏まえて、具体的なDX戦略を策定しましょう。戦略の可能性を広げるためには、1つに絞らず複数検討するのがおすすめです。状況に応じて複数を同時進行したり優先順位を決めて進めたりすると、スムーズに進められるでしょう。この手順では、どのようなデジタル技術を導入し、どの業務プロセスを改善するかなどまで、具体的に決定する必要があります。
4.DX人材の確保と育成
DX化には、実際に作業を進める人材の確保と、必要に応じた育成が欠かせません。膨大なリソースを割かないとDX化を進められないため、必ずDX用の人材を確保しましょう。普段の業務と同時進行は難しいので、DX専用の部署を立ち上げるか、どこかの部署を専門で担当させる方法がおすすめです。社内で人材の確保が難しい場合は、採用から行うのも1つの手でしょう。社外に委託するという選択肢もあります。5.実行とモニタリング
手順4まででDX化の準備を整えられたら、実行計画に基づいてDXプロジェクトを実行して進捗をモニタリングし、継続的な改善を行いましょう。しかし、いきなり大規模なDX化を行うのは、無理があります。失敗のリスクを避けるためにも、まずは規模の小さなものから始めましょう。ゴールが会社全体のDX化だとしたら、1つの部署や事業からスタートするイメージです。小規模なDX化で手ごたえを感じたり成果が出たりしたら、他の部署や事業でもDX化を進めましょう。DX化の成功例が増えれば、よりDX化が推進されます。DX化で成果を出すためには、長期計画を立て、継続して実行していくことが大切です。
DXについての解説まとめ
今回の記事では「DX」について解説しました。まだまだ、各企業では成熟度が低い現状ではありますが、現在注目されている考え方です。
事業者の方で社内システムのDX化を検討している方は「IT導入補助金」なども調べてみるのもよいでしょう。
コロナウィルスによって社会のあり方が大きく変わろうとしている今だからこそ、知っておきたい用語ですね。
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