結論、動画編集に使える生成AIはすでに多数出現してきている状況です。この記事では「AIに動画編集なんてできるの?」「実際、今AIはどこまで来てる?」といった疑問に回答したうえで、動画編集AIを使う際の注意点や実際のツールについてまで徹底解説します。
AIによる動画編集とは?
「AIで動画編集ってどういうこと?」「どうやってやるの?」と気になっている人も多いでしょう。簡単に言うと、昨今注目を集めているChatGPTのような「生成(ジェネレーティブ)AI」の技術を活用したもの。写真や動画・テキスト等を入力してあげるだけで、カット・テロップ挿入といった編集作業をAIが自動的に行なってくれるのです。工数や外注費の削減に大きく寄与するとして、多くの企業・個人編集者が注目しています。ドコモが運営するインターネットプロバイダ「NTTぷらら」では、スポーツの試合の生配信映像から、AIを使ってダイジェスト映像を作成することに成功したとか。人の手で作業するよりもタイムリーな動画提供が可能になることから、今後益々活用の場が広がっていくことはまず間違いないでしょう。
現状、AIで動画編集はどこまでできるのか
動画編集(生成)AIとしては、AIスタートアップ企業である「Runway Reserch(ランウェイリサーチ)社」が提供する「Runway」が代表的。2023年9月現在「Gen-2(第2世代)」が公開されていますが、主なできることとしては以下の通り。- 既存の動画から別動画を作成する
- 画像に動きを加え、動画のように表現する
- 与えられたテキスト(+画像)から動画を作成する etc…
Runway社公式YouTubeチャンネルに公開されている動画を見ると、AIとは思えないかなり完成度の高い作品に仕上がっていることがわかります。素材がなくてもAIがゼロから生み出してくれることから、動画作成の手間は大きく削減できるはずです。
ただし「一度に生成できる映像は16秒まで」といったいくつかの制限が設けられているのが現状。とてもではないですがそのまま公開するには短すぎるため、AIで作成・編集した動画を人間がつなぎ合わせる等の作業は生じるでしょう。今後どうなるかはわかりませんが、現時点においては、いくらAIといえど作業を完全に丸投げできるわけではありません。
動画編集をAIに任せる際の注意点
動画編集作業をAIに任せることで「別の作業に充てる時間が増える」「外注費が減る」等、さまざまなメリットがあることは確か。一方で、AIに頼りっきりになるのは少々危険だと言えるでしょう。ここでは「動画編集をAIに任せる際の注意点」として、ぜひ念頭に置いておいていただきたい事項をご紹介します。- 視聴者の心を揺さぶるような作品は作りにくい
- 競合との差別化が図りにくくなる
- 最終的には人が手を加えなければいけない場合が多い
視聴者の心を揺さぶるような作品は作りにくい
元となる映像・画像・テキストなどによって多少変化は出るかもしれませんが、AIが作成・編集した動画は当たり障りのない単調なものになってしまいがち。最低限視聴に耐えうる動画が出来上がったとしても、視聴者に対して感動・興奮を与えるような、エモーショナルな作品に仕上げることは難しいでしょう。ユーザーの心理や感情を理解して作品に落とし込むことができるのは、心を持つ人間だからこそ為せる業と言えます。
競合との差別化が図りにくくなる
みんながみんなAIツールを活用するようになれば、同じようなレベルの動画編集者が溢れかえることになります。動画編集案件に応募しても山のような競合に埋もれてしまい、仕事を獲得することすら難しくなるでしょう。「AIが使える」というスキルだけでは、周りと差別化が図れないのです。AIによる動画編集は便利かつ効率的ですが、それだけしかできない人材では、そもそも動画編集者として生き残っていくことすら出来ないかもしれません。
最終的には人が手を加えなければいけない場合が多い
先に述べた2点を見てもわかる通り、まだまだAIは発展途上段階です。人間が作るような心のこもった作品は、いくら大量のデータを学習したAIと言えども簡単に真似することはできないでしょう。「最終的には人間がしっかりと手を加えなければ良い作品は出来上がらない」ということを十分理解したうえで、節度をもってAIと付き合っていくことをおすすめします。自身の編集技術向上に向けた学習にも、積極的に励んでいけるといいですね。
参考:動画編集の勉強
AIツールも学べるおすすめ動画編集スクール
AIによる動画編集ができるようになりつつあるとは言え、AIを使いこなすためには、基盤となる動画編集スキルを身に付けておく必要があります。ここでは、確かな動画編集スキルを身に付けられるおすすめの動画編集スクールを紹介します。
studio US
studio USは、未経験からフリーランスで活躍できるほどの動画制作スキルが学べる動画編集スクールです。実践的なスキルが身につく秘密は、実践的なカリキュラムとアウトプットの多さ。
900本以上の動画教材は、24時間いつでも好きな時間に好きなだけ見ることができます。動画教材は毎月新しいものに更新されるため、常に新しい知識を学び続けられるのが嬉しいポイントです。動画編集だけでなく、画像加工やリテラシー、仕事の取り方なども体系的に学べます。
わからないことがあればプロの講師が質問することができ、つまづいても一つずつ解決しながら進めることが可能です。受講中には他のスクールよりも圧倒的に多い15~50本の動画を制作する機会があり、アウトプットの機会も充実しています。
デジハク
デジハクは、動画編集副業・フリーランスに特化した動画編集スクールです。
AdobeソフトであるPremiere ProやAfter Effectsを中心に学べるため、卒業後は多様な動画編集案件に携わることができるでしょう。
また現役動画クリエイターで構成された添削専門チームによる添削サポートも受けられるため、クォリティーの高い編集技術が身に付きます。
そんなデジハクが提供するコースは、次の2つ。
- デジハクMINIコース:128,000円(税込)
- デジハクPROコース:298,000円(税込)
転職目的のスクールではないため、その分受講料金を抑えられる点も嬉しいポイント。
受講生の9割以上が未経験ということもあり、未経験者でも安心して受講を開始できるでしょう。
MOOCRES
MOOCRESもフリーランスや副業目的に動画編集を学びたいと考える人向けにカリキュラム設計されたスクールです。
使用するソフトは、業界でも多くの現場で用いられている『After Effects』。
同スクールの魅力は、最大6名の超少人数のライブ授業を通じてリアルタイムにレッスンを受けられる点。現役クリエイターが講師を務めるため、現場で求められているスキルが身に付くでしょう。
またレッスンは、対面・オンラインどちらの選択も可能です。自分に合った受講スタイルを選択できるのも魅力の1つ。
卒業後も案件紹介やチャットサポートといった半永久的なサポートを受けられるため、自分のペースで動画編集のスキルを身に付けたい人におすすめです。
ヒューマンアカデミー
ヒューマンアカデミーが提供する動画クリエイター講座は、最短3か月でプロ並みの動画編集スキルを身に付けることを目標に掲げるコースです。
月々5,200円から利用できるリーズナブルな価格設定が魅力ですが、ママ割りや紹介割りなどの割引サービスもあり、上手に活用すれば安価な価格で動画編集スキルを学ぶことができるでしょう。
オンラインの受講も可能ですが全国に教室が点在しているため、対面受講を希望する場合でもすぐ近くの教室が見つかるでしょう。
またオンライン受講であったとしても、教室の自習室を利用できます。
なおコースによっては、給付金の対象になるものもあります。
費用を抑えたいと考えている人は、給付金対象コースについても調べてみてはいかがでしょうか。
動画編集を半自動化してくれるAIツール3選
さまざまな動画編集・生成用AIツールが登場してきていますが、その中でも特に知名度が高く、導入しやすいものを3つご紹介します。あくまで「編集作業の一部を手伝ってくれるアシスタント」のような立ち位置で、頼り切りになることなく上手に活用してみましょう。- Runway
- FlexClip
- Video BRAIN
Runway
ツール名 | Runway |
料金プラン | スタンダード(月契約):月額15ドル スタンダード(年契約) :月額12ドル プロ(月契約):月額35ドル プロ(年契約):月額28ドル ※無料試用版あり |
公式サイト | https://runwayml.com/ |
先述した通り、生成AIのスタートアップ「Runway Reserch」が提供する、業界でもひと際注目度の高い動画編集(生成)AIツールが「Runway」です。アップデートが頻繁に行なわれているのも魅力で、2023年3月には「Gen-1」から「Gen-2」に大幅進化。画像や動画がなくてもテキストから映像生成ができる等、その搭載機能の優秀さでは群を抜いています。
登録は無料で、105秒までならお金をかけずにAI動画生成が可能です。「本当にAIで動画編集(生成)ができるの?」と半信半疑な人は、Runwayを使って気軽に使い心地を試してみるといいでしょう。
FlexClip
ツール名 | FlexClip |
料金プラン | プラスプラン(月契約):月額19.99ドル プラスプラン(年契約) :月額9.99ドル ビジネスプラン(月契約):月額29.99ドル ビジネスプラン(年契約):月額19.99ドル ※無料試用版あり |
公式サイト | https://www.flexclip.com/jp/ |
「FlexClip」は、香港のグラフィックソフト開発会社「PearlMountain」が手掛ける、オンラインベースのAI動画編集ソフトです。テンプレート動画が豊富に用意されており、イメージに近いものを選んでデータを入力していくだけで、簡単に動画が出来上がります。
海外初のツールながら、日本語に対応しているのも嬉しいところ。解像度や書き出し時間等にいくつか制限はあるものの、無料プランでもほぼすべての機能を利用することができますよ。
Video BRAIN
ツール名 | Video BRAIN |
料金プラン | 要問合せ |
公式サイト | https://video-b.com/ |
「Video BRAIN」は、日本企業が開発するAI動画編集ソフトということで注目を集めています。動画自動生成ソフト市場で3年連続シェアNo.1、大企業がおすすめする動画編集クラウドNo.1を獲得するなど、実績は申し分なし。実際に700社以上の企業で導入されています。
編集技術がなくても、写真・テキストといった素材を入力するだけで最短3分で動画が完成する手軽さが魅力です。法人としてAI動画編集を取り入れていきたいと考えているなら、ぜひ検討したいところ。
動画編集AIまとめ
当記事では「AIによる動画編集ってどういうこと?」「現状どこまでできるの?」といったよくある疑問に対する回答をはじめ、動画編集をAIに任せる注意点や実際のAIツールについてまで、詳細に解説してきました。既存の動画データを編集することはもちろん、画像やテキストをもとにした新たな動画作成までできるほどに成長している生成AI。企業はもちろん個人の動画編集者にとっても、作業時間を大幅に削減できる強力なツールであることは間違いないでしょう。
参考:生成AIが学べるプログラミングスクール
一方で、生成時間がわずか数十秒だったり、人間の感情まで考慮した映像にはなり得なかったりと、まだまだその技術は発展段階。少なくとも現時点では「作業を完全に丸投げできるもの」ではなく「人間の編集作業をサポートしてくれるもの」程度に留まることを理解したうえで、適切に活用していくようにしたいですね。