(取材)Haruさん|独学でTOEIC990点!人気英語YouTuberに聞いた、留学なしで英語を習得する方法とは?

人気英語YouTuberに聞く 留学なしで英語を習得する方法
グローバル化が進む昨今、進学や就職で英語力が求められることも増えており、「将来に備えて英語が話せるようになりたい」「英語力を身につけてキャリアの幅を広げたい」という意見を多く目にするようになりました。

しかし「自分に合った学習方法がわからない」「なかなか英語力が向上しない」と悩む方もいるでしょう。

今回お話を伺ったのは、YouTubeチャンネル「Haru English」で英語学習について発信し、自身も留学なしの国内独学でTOEIC990点を獲得しているHaruさん

現役外資系社員でもあるHaruさんに、効果的な英語学習法やTOEIC取得のメリットについて解説していただきました。

さらにHaruさんが運営するYouTubeチャンネル「Haru English」や、著書である『TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図』の魅力や活用方法についても記事内で紹介していきます。

Haruさん

まずは基礎(土台)を固めることが重要

YouTubeチャンネル「Haru English」


ーHaruさんは留学せずに国内のみで英語学習をされてきたということですが、日本の英語教育の現状について、どのようにお考えですか?

もっとアウトプットに力をいれたクラスが学校教育の中にあればいいなと思う一方で、日本の英語教育も素晴らしいと個人的には考えています。

日本の英語教育は文法に特化した授業がメインで、基礎を重視した内容です。私自身、学校教育で学んだ知識が土台にあるからこそ、丁寧で正確な英語を話したり書いたりできているので、恩恵を受けている部分も大きいなと思っています。

ー英語力を向上させるためには、やはり基礎的な部分をしっかり身につけることが大事なのでしょうか?

そうですね。まずはしっかり文法や語彙などの基礎的な土台を固めて、「聞く・読む」をある一定のレベルまで引き上げていく。そのうえで、アウトプットのフェーズに移行し「話す・書く」の練習を積んでいくべきだと思っています。

SNSの影響もあってか、英語が得意な人のやり方を真似して難易度の高い勉強法を取り入れてしまう人も少なくありません。しかし、自分のレベルに合っていない勉強に手を出してはいけません。背伸びして勉強しても、しんどいだけでそれほど上達につながらないことが往々にしてあります。

基礎的な文法や単語がまだおぼつかない人は、単語帳や文法の参考書を定着するまで何周も解く勉強法が一番いいのではないでしょうか。ちょっと泥臭いですけど、やっぱり最初はそういう勉強法から基礎を身につけることが大事だと考えています。

ー英語学習は、途中で挫折してしまう人も多いとよく耳にします。挫折せずに英語力を伸ばすためには、どういったことを心がけると良いでしょうか?

日々のモチベーションに依存しないことが大事です。やっぱり人間だらけてしまうものなので、その時々のやる気に依存して「やる気が出たら勉強をする」っていうスタイルでは、うまくいかずに挫折するケースが多い。

モチベーションに左右されないためには、英語学習をルーティン化するのがおすすめです。要するに、英語学習を「歯磨きのように生活に溶け込ませる」のです。最初から勉強メニューをハードなものにせずに「単語帳を10分」など、無理なくスタートできるものからだんだんと勉強時間を増やしていくと、うまく学習が定着していきます。

私自身も日々勉強していますが、モチベーションに左右されることはなく、毎日やることが当たり前になっていますね。

資格試験を活用して英語力の土台づくりをしよう

ー基礎を身につけるのが大事ということでしたが、どのようなアプローチが効果的だとお考えでしょうか?

資格試験を指標に勉強するのがおすすめです。個人的には最初はTOEICがベストだと考えていますが、英検や留学を視野に入れている方であればTOEFLやIELTSでも良いでしょう。何か一つ自分に合ったものを決めて、その試験の王道の勉強法に取り組んでみてください。

資格試験は、英語を読んだり聞いたりしてしっかりと理解できるかを測るものですから、文法力や語彙力がそのまま可視化されます。その点において資格試験に向けた勉強は、基礎的な英語力の土台を身につけるうえで最適だと考えています。資格試験を活用して、自分の文法力や語彙力がある程度のレベルまで到達したと感じたら、そこからアウトプットに踏み出していけばいいのではないでしょうか。

ー目標を定めて、そこに向かって一つ一つ学習していくのが大事ということですね。資格勉強をするにあたって、おすすめの方法はありますか?

よく勘違いする方もいらっしゃいますが、インプットの勉強だからといって発話してはいけないということはありません。むしろその逆で、インプットの勉強をする過程でも、自分で発話するプロセスを取り入れて勉強することが大切です。

声に出して学ぶことにより、文の意味と正しい音をセットで頭に定着させることが可能になります。資格試験のテキストについているネイティブの音源をよく聞いて、その真似をしながら発音する方法がおすすめですね。

あとは勉強する際に、テキストの種類を増やしすぎないこともポイントです。数冊に厳選したものをしっかりとやり込んで、何周もするのが一番いいです。

中途半端に次のテキストへ移ってしまうと、一冊目のテキストの内容も理解できていないまま進んでしまうことになりかねません。一冊のテキストに繰り返し取り組み、「もうこのテキストから得られることがないな」と思ってから、次に行っていただきたいです。

TOEICは英語の入り口として最適!

Haru EnglishではTOEIC対策の動画を多数発信


ーまずはTOEICを指標に勉強することがおすすめと伺いましたが、TOEICを取得するメリットを教えてください。

TOEICをおすすめする理由としてまず挙げられるのが、国内での人気と知名度の高さです。

TOEICで高スコアを取ったときの周囲に与える印象は、他の英語試験と比べても段違いと言えるでしょう。高スコアを取得していると、受験や就職活動で有利になることや、キャリアパスが広がる可能性も考えられます。

会社で昇進・昇給の要件をクリアしたり、海外が絡む案件を振ってもらいやすくなったりといった「実利」の部分もありますが、TOEICを勉強することによって間違いなく英語の基礎力が身につくので、「英語力向上」の意味でもメリットがあります。

最近では、ネイティブの人が日常会話で使うような、ちょっとくだけた表現もTOEIC試験の中に出てくるようになったので、実践で使える本質的な英語力を身につけるうえでもおすすめです。

さらに言うと、TOEICは合格・不合格がなく、5点刻みで自分の実力を細やかに反映してくれる試験なのも良いところです。合格・不合格がある試験では、実力が上がっていてもその試験のボーダーに達していないと不合格の現実を突きつけられてしまう。そうすると、モチベーションにつながりづらいですよね。

その点、TOEICは自分の実力の上昇を定量的な結果として可視化できるので、モチベーション維持にもすごく良いと思っています。

ーほかにもTOEFLやIELTSも点数制の試験だと思うのですが、その中でなぜまずはTOEICなのでしょうか?

IELTSやTOEFLも素晴らしい試験ですが、初学者の方には少し難し過ぎる印象があります。IELTSやTOEFLは、試験の中でアカデミックな文章を要約したりエッセイを書いたり、さらにネイティブの試験官とディスカッションしたりします。加えて、出てくる語彙も難しく、リスニングのスピードも速い。

英検1級よりもさらに難しい内容が全受験者に対して求められるので、最初にそれを指標に設定して「よし!点数を上げていくぞ!」となると、途中でしんどくなってしまう人も多いのではないでしょうか。

ー難しすぎると挫折につながってしまいそうですよね。どれくらいまで行けば次のステップに行っても良いとお考えですか?

TOEICで800点、英検で準1級くらいがアウトプットに踏み出す準備が整う点数だと思っているので、そこからスピーキングやライティングの勉強を始めていくのがベストですね。IELTSやTOEFLに移行していくのも良いですし、TOEICのSpeaking & Writing Tests(TOEIC SW)を受けるのもおすすめです。

TOEIC SWは、「話す」「書く」といった英語のアウトプット力を測る試験です。一般的にTOEICと言われているTOEIC Listening&Reading (TOEIC LR)とシナジーがあるので、使われている語彙の表現がすごく似ているんですよ。だからこそ、TOEIC LRで800点を取って土台を整えたあとに、TOEIC SWに移行するのがスムーズだと思っています。

ーHaruさんも、同様のルートでTOEIC990点満点を取ったのでしょうか?

私自身、TOEIC800点くらいからは「ネイティブみたいに話せるようになりたい」という憧れの気持ちが強かったので、会話に特化して勉強してきました。その延長線上で、TOEIC満点が取れたという認識でいます。

まずは「試験を指標にして土台を作る」とお話ししましたが、裏を返せば「一定の点数以降は試験に特化した対策ばかりするべきではない」ということです。

TOEICは英語力の土台を作るためには素晴らしい試験ですが、ある程度からは試験の点数に囚われずに、自分のなりたい姿や目標に合わせた学習をおこなうべきです。そうして、「ちょっと試験を受けてみたらスコアが上がっていた」というのが、本質的な英語力を向上させるためには一番いいシナリオではないでしょうか。

TOEICを勉強するならマストの3冊を紹介

ー先ほど厳選したテキストをやり込むことがポイントと教えていただきましたが、Haruさんおすすめのテキストを教えていただけますでしょうか?

TOEICを勉強するならマストかなと思っているのは、以下の3冊です。

  • TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ(金フレ)
  • 1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急(文法特急)
  • 公式TOEIC Listening & Reading 問題集 10(公式問題集)

この3冊を選んだ理由は、TOEICらしさが高いためです。金フレと文法特急は公式が出しているテキストではありませんが、同じTOEIC TEST 特急シリーズ。TOEICを毎回受けてテストを知り尽くしている著者の方々が、TOEICらしさを追求した単語や問題を掲載しているので、信頼度が高い点が魅力です。頻出の単語や文法を効率よく仕入れるためには、必須の2冊だと考えています。

そして最後に紹介した公式問題集ですが、本番同様のクオリティの問題が解ける点が魅力です。リスニング問題を解くにしても、ネイティブの音源を真似て発音するにしても、やっぱりテスト本番の音声でできるというのは、TOEIC対策においてすごく良いですね。

【TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズはこちら】

朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ

前作から4年半。絶対のバイブル「金フレ」が新形式に対応して大改訂。TEX加藤氏が魂を込めて分析を続け、力の限りを凝縮した「100%の出る単語帳」。質・内容・コス...

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【1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急はこちら】

朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:1駅1題 TOEIC L&R TEST 文法特急

前作から11年。毎回受験、990点カリスマ講師の探求のすべてを凝縮。 時に鍛えられ、洗練された絶対のバイブル。 花田先生による全問解説朗読音声つき!  新...

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【公式TOEIC Listening & Reading 問題集 10はこちら】

【特集】公式TOEIC Listening & Reading 問題集 10|公式教材・問題集|【公式】TOEIC Program|IIBC

「公式TOEIC Listening & Reading 問題集 10」の紹介ページです。本番を「公式」で知る。付属CD収録の音声に加えて、リーディングセクションの音声ダウンロードが可能。

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「なぜ?」をロジカルに解説!YouTube『Haru English』著書『TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図』

—Haruさんは著書やYouTubeで英語の学習方法について発信されていると伺いましたが、くわしく紹介いただけますでしょうか?

私が運営しているYouTubeチャンネル「Haru English」は、英語の勉強法を紹介するチャンネルです。英会話の上達方法やほかの英語試験についての動画もありますが、メインの内容はTOEICのスコアアップのための勉強方法の解説です。

現時点での英語レベルや対策したい試験の種類、最終的にどのレベルの英語力を求めているのかも含めて、様々な方に視聴いただいています。

【YouTubeチャンネル「Haru English」はこちら】
YouTube  

Haru English

英語の勉強法を紹介しています。 ▪︎▪︎Haru略歴▪︎▪︎ 工学修士。米IT企業勤務。 理系ならではの理屈を追求したロジカルな勉強法をYouTubeで発信中。 【英語系資格】 ☑︎TOEIC LR 990点満点 ☑︎TOEIC SW 180 / 180 ☑︎英検1級(上位1%合格、W満点、CSE 2959) ☑︎IELTS Academic Overall 7.5 【著書】 ☑︎TOEIC L&R TEST ロジカル勉強地図(KADOKAWA) ※個別コーチングご希望の方はHPからお願いします。

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—発信される際にHaruさんが意識しているポイントを教えてください!

とにかく細かいステップまで落とし込んで説明することを意識しています。なぜならば、YouTubeのコメントを見ていても「おすすめの教材はインターネットで調べればわかるけれど、それをどうやって使えばよいかわからない」といった声をよく目にするからです。

「このテキストが良いですよ」とただ紹介するだけではなく、「1日にどれくらい何をやればいいのか」「このテキストが終わったら次のステップはどうしたらいいのか」のような形で、勉強する人のステップに落とし込んで動画作りをしています。


著書である『TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図』も同様です。ただ問題が載っている参考書でもありませんし、ただテキストを紹介している本でもありません。紹介した参考書を使って、具体的に「どういう勉強をどれくらいやれば良いのか」を得点帯に応じて細かく書いています。

得点帯によって紹介している勉強法が異なるので、自分の英語力の伸びに応じて各ページを参照していただきたいですね。

さらに言うと、「なぜその勉強方法なのか」「なぜそのテキストなのか」という理由付けの部分も、本を手にとってくださった方が腑に落ちるように、細かく理由を記載していますよ。

【TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図はこちら】

TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図

学習参考書「TOEIC(R) L&R TEST ロジカル勉強地図」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。YouTube総再生回数1000万回超の論理的メソッド!

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ー最後に英語習得に向けて努力している読者にむけて、メッセージをいただけますか?

英語は絶対に学習したほうが良いと考えています。なぜならば、英語は全てのキャリアの土台になってくれるからです。

英語×IT、英語×ファイナンス、英語×医療など、英語はどのスキルと掛け合わせても年収アップやキャリアを広げるのに役立ちます。さらに言うと、教えたりSNSで発信したりと英語単体でもマネタイズ可能です。

「テクノロジーのおかげで不要になる」という意見もありますが、それを言い出して一体何年経ったのでしょうか。英語はコミュニケーションツールなので、瞬発力やハイコンテクストなコミュニケーションが求められますよね。そのため、スキルとして英語力がAIに奪われるのは、本当に最後の最後なんじゃないかなと思っています。

だから、まだまだ英語を勉強する価値は高い。技術の進歩を待っていたら、先に定年や寿命を迎えてしまいます。「AIに置き換わるから英語は不要」なんてことを言わずに、すぐにでも英語学習に取り組んでいただきたいなと思っています。

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