そこでこの記事では、数あるゲーム関連職種の中でも「ゲームデザイナー」に焦点を当てて解説していきます。「ゲームデザイナーになるにはどんなスキルがいるの?」「実際のところ年収はどれくらい?」といった情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもゲームデザイナーとは?仕事内容を解説
そもそもゲームデザイナーとは、ゲームの開発現場においてリーダー的存在のことを指します。企画・設計にはじまり、キャラクターデザインやシナリオ作成、各種システム構築にゲームバランス調整まで…その業務内容は多岐にわたります。時には自らクリエイターとして作業に当たることも。ここでは、ゲームデザイナーの仕事内容について詳しく見ていきましょう。
ゲームの企画書を作る
まずはゲームの基本設計をもとに企画書を作成し、ゲームの全体像や世界観、キャラクター設定、ストーリー展開などを詳細にまとめます。この企画書は、ゲームの開発メンバーや関係者に向けた重要なプレゼン資料として重要な役割を果たします。企画書を通じてゲームの魅力や目指すべき方向性を共有し、全員が同じゴールに向かって進むための指針を示すというものです。この段階で明確なイメージを提示することが、ゲーム制作の成功に大きく寄与します。
ゲーム開発に必要な仕様書を作成する
ゲームデザイナーの重要な仕事内容の一つに、ゲーム開発に必要な仕様書の作成があります。仕様書は企画書で決定したゲームの全体像をさらに細かく具体化し、開発チームが実際に制作を行うためのガイドラインとなる文書です。ゲームの各要素の詳細な仕様が記載されており、例えばキャラクターの動きやスキル、アイテムの効果、ステージの構造、ゲームシステムの挙動など、さまざまな技術的な内容が含まれます。この仕様書を作成することで、プログラマーやデザイナー、サウンドエンジニアといった関係者が、同じ方向性を持って開発を進められるようになります。特に複雑なゲームでは、複数の要素が絡み合うため、曖昧さを排除した仕様書が不可欠だからです。
また、仕様書は開発途中での確認や修正の基準にもなるため、プロジェクトの進行状況に応じて更新されることもあります。これにより開発がスムーズに進行し、品質の高いゲームが完成します。
現場の進行管理を行う
ゲームデザイナーの仕事内容には、制作現場の進行管理も含まれます。進行管理とは、ゲーム制作がスムーズに進むよう、開発プロセス全体を監督・調整することです。開発は多くのチームメンバーが関わる複雑な工程であり、各パートが予定通り進まなければプロジェクト全体の遅延や品質低下のリスクが生じます。そのためゲームデザイナーは、各チームやメンバーの進捗状況を常に確認し、タスクが計画通り進行するように調整する必要があるのです。
進行管理の際には、時に仕様の変更が求められることもあります。ユーザーフィードバックや市場のトレンドに対応するため、当初の計画に修正が加えられる場合もあり、ゲームデザイナーはその変更内容を各チームに共有し、対応するための調整を行います。これにより開発がスムーズに進むと同時に、品質が維持されるようになります。また進行管理を通じて、開発期間内に完成を目指すことはもちろん、開発者一人ひとりのモチベーションを保つという役割もあります。
課題の発見と改善を実行する
ゲームデザイナーの重要な仕事内容の一つに、課題の発見と改善の実行があります。ゲーム開発では、完成に近づくにつれてバグや不具合、ゲームバランスの調整が必要になるため、デザイナーは細部までチェックを行い、品質を向上させるための改善タスクを進める必要があるのです。まずテストプレイやデバッグを通じて課題を洗い出し、キャラクターの動きやゲームのレスポンスが意図した通りに機能しているか、プレイヤーの視点からゲームの難易度が適切かなど、どの部分に改善が必要かを明確にします。課題が見つかった場合、デザイナーはその原因を分析し、修正内容を関係チームに共有します。さらに変更によって新たな課題が発生しないよう、慎重に調整を進めていきます。
このような改善作業は、ゲームが完成形として世に出る前に欠かせないプロセスであり、最終的なプレイヤー体験を向上させるための大切なステップです。ゲームデザイナーはこうした改善タスクを繰り返し行うことで、ゲーム全体のクオリティを高め、プレイヤーが満足できる仕上がりを目指します。
ゲームデザイナーになる方法
ここでは、ゲームデザイナーになる方法についても詳しく見ていきましょう。ゲームデザインスキルを身につける
ゲームデザイナーになるためには、ゲームデザインスキルを体系的に身につけることが重要です。特にCGデザインやCG技術など、ゲーム開発に必要な知識を網羅的に学ぶ方法として、専門学校や大学のコンピューター系・美術系の学科が挙げられます。グラフィックデザインや3Dモデリング、プログラミングなど、ゲーム制作に欠かせない基礎スキルを実践的に学べるだけでなく、ゲームデザインのプロセスや制作ツールの使い方、チームでのプロジェクトの進行方法についても理解を深めることができます。
さらに、専門学校や大学は業界とのつながりを持っており、実習やインターンシップを通じて現場を体験できる機会も豊富に用意されているため、即戦力となるスキルを身につけるだけでなく、将来のキャリアに役立つ人脈を築くことも可能になります。
もちろん独学でのスキル習得も不可能ではありませんが、必要なスキルを効率よく体系的に身につけるには、教育機関での学習が大きなメリットとなるでしょう。
ゲームメーカーやゲームソフト制作会社へ就職・転職する
就職・転職活動を通じてゲームメーカーやゲームソフト制作会社へ入社し、業界の知識と実務経験を積むことで、将来的にゲームデザイナーとしてのポジションを目指す方法です。ただし、未経験者がいきなりゲームデザイナーとして採用されることはまれで、多くの場合はプログラマーやテスターなどの他の職種でスタートし、制作の流れや現場の進行方法を実際に経験した後、ゲームデザインに必要な基礎力を身につけていきます。現場での実務経験を積むことは、ゲームデザインのスキルだけでなく、他職種との連携やプロジェクト管理の重要性を学ぶ機会にもなります。また企画立案の段階で必要とされる「ユーザー視点」や「市場分析」の感覚を養うことも、現場経験を通して磨かれていきます。
入社当初はデザイン以外の職務を担当することが多いですが、経験を積むことで希望の職種へとキャリアチェンジを果たすことができるでしょう。
フリーランスで活動することも可能
フリーランスのゲームデザイナーは、プロジェクトごとに契約を結び、特定の企業やチームに縛られずに業務を遂行する働き方です。ゲームデザイナーとしてのスキルや実績を積むことで、フリーランスとして活動する道も開かれます。フリーランスとして活動するには一定の実務経験と信頼性が求められるため、企業での実績やポートフォリオの充実が重要です。プロジェクトの成功実績を積むことで信頼性や知名度が向上し、継続的な依頼や新規クライアントの獲得につながります。
フリーランスとしての働き方は、スケジュールの自由や収入の増加が期待できる一方で不安定な面もあるため、しっかりとしたスキルと実績、タスク管理などが求められます。クラウドソーシングの利用や自身のWebサイトでポートフォリオを公開するなど、マーケティング活動も重要となる点に注意が必要です。
ゲームデザイナーになるには何が必要?必要なスキル
ここでは、ゲームデザイナーになるために備えておきたいスキルについて解説していきます。魅力的なゲームを企画・設計していくためには、その土台となる知識が必要不可欠。何から始めればいいか迷ったら、まずはこれらスキルの習得に励んでみてください。参考:グラフィックデザイナーはやめとけ?理由と向いていない人の特徴を解説
- デザインの基礎
- 各種ソフトウェアの操作
- CG(3D・2D)
- プログラミング
- コミュニケーション能力
デザインの基礎
「ゲームデザイナー」という職種名をしているだけあって、やはりデザインに関する知識は非常に重要です。ゲームデザイナーはキャラクターや背景といったグラフィック部分の設計にも携わります。色彩理論やレイアウト、タイポグラフィといった基礎知識を備えておけば、視覚的に美しく、プレイヤーとしても直感的に理解できる、優れたデザインを作成することができるでしょう。またデザインの基本的な考え方を理解していると、他のデザイナーやアーティストと円滑にコミュニケーションを取ることも可能に。チームの指揮としてプロジェクトをスムーズに進行する上でも、デザイン知識は必ず役立ちます。
各種ソフトウェアの操作
ゲームデザイナーは、効率よく企画・設計を進めるためにも、デザイン・ゲーム関係のさまざまなソフトウェアを使いこなす能力が求められます。例を挙げると以下の通り。- Adobe Photoshop
- Illustrator
- Unreal Engine
- Unity etc…
特にゲーム開発の現場において、アセットにより制作スピードをアップできるゲームエンジンの理解は欠かせません。大手制作会社の場合、自社で独自のゲームエンジンを構築することもありますが、「Unreal Engine」と「Unity」は国内を代表する2大ゲームエンジンとなっているため、身につけておいて損はないでしょう。
ソフトウェアの扱いに長けていれば、思いついたアイデアをすぐ形にして共有する等、チームメンバーと理想的な形で協働することができるようになります。
参考:Adobe講座
CG(3D・2D)
昨今のハイクオリティ化著しいゲーム業界において、3D・2D問わず「CGスキル」もぜひ身につけておきたいところ。3Dモデリングやアニメーション、2Dグラフィックス作成の技術は、魅力的な世界を創造し、キャラクターや環境を生き生きと描写するためには不可欠です。CGによってゲームにリアリティやユニークさが加われば、作品の魅力と完成度は大いに高まります。知識面はもちろん、以下のような2D・3Dソフトの扱いにも慣れておけるとなおいいでしょう。
- Maya(3D)
- Blender(2D・3D)
- Clip Studio(2D) etc…
ゲームデザイナーは現場の指揮を担当するため、実際にこれらのソフトを駆使してCG制作にあたることは少ないかもしれません。それでも、ゲーム開発とCGは切っても切り離せない重要な関係であるため、その業界で働く人間として最低限身につけておくことをおすすめします。
参考:3DCGが学べるスクール
プログラミング
ゲーム開発に携わるのであれば、やはりプログラミングも習得しておくに越したことはないでしょう。C++やC#といった言語は、先述したゲームエンジン「Unreal Engine」や「Unity」でも用いられており、理解しておくと実装できるものの幅がグンと広がります。スマートフォン用のゲームを作るのであれば、JavaやKotlin、Swift等も重要。ゲームデザイナーがプログラミングに精通しておけば、開発をともにする他のエンジニアと効果的に連携を図れます。プロジェクトの進行や問題解決にも貢献することができ、よりクリエイティブなゲーム開発ができるようになるでしょう。プログラミングスクールでも学ぶことができるため、検討してみるのもいいでしょう。
コミュニケーション能力
ゲームデザイナーは「プロジェクトを牽引する」という重要な役割を担っていますので、エンジニアやデザイナー、ライターといった多くのチームメンバーと協同することになります。そのため、開発を円滑に進めるうえでは高いコミュニケーション能力も重要です。企画・設計の意図等を伝えるための「話す力」はもちろん、それ以上に「聞く力」は養っておく必要があるでしょう。現場の指揮を担当するからと言って、自分の意見だけを押し付けていてはいい作品も生まれません。チームメンバーの声をしっかりと聞き、相手を尊重しながら良い意見は積極的に取り入れていく…こういった協力的な姿勢をぜひ身につけたいところです。
ゲームデザイナーの年収はどれくらい?
ゲームデザイナー志望者の中には「実際どれくらい稼げるの?」と収入面を気にしている人も多いことでしょう。やりがいのある仕事だとしても、相応の報酬がもらえなければ充実した生活を送ることはできません。カカクコムの運営する大手求人検索エンジン「求人ボックス」で調査してみたところ、正社員ゲームデザイナーの平均年収は416万円となっていました。全体の分布を見ても、一番ボリュームが多いのは353万円以下という結果。
業務内容によっては未経験者OKとする求人が多数掲載されていることもあり、会社員ゲームデザイナーの収入はやや低めであることが分かります。参考までに、令和4年度の日本の平均年収は458万円です。
参考:Webデザイナーの年収
もちろん、中には700〜800万稼いでいるゲームデザイナーも少なからずいることから、実績やスキル次第では高年収を実現することも決して不可能ではありません。昨今注目されている「フリーランス」としての働き方を確立すれば、青天井に収入を伸ばしていくことも可能です。キャリアチェンジしたての頃は、やや低収入でもスキルを積むことに注力した方がいいかもしれません。
参考:ゲーム業界転職エージェント
ゲームデザイナーになるには まとめ
ゲームの制作や企画・設計を担当した経歴があれば、それをポートフォリオにすることで採用確率をグッと高められます。ただし、経験の浅い時期は相応に年収も低くなってしまいやすい点には注意が必要です。転職でゲームデザイナーになる場合、収入がガクッと落ちてしまうことも考えられるので、その点をよく考慮したうえで行動した方がいいでしょう。