「そもそもグラフィックデザイナーとは?」といった内容をはじめ、グラフィックデザイナーの仕事内容や将来性、さらには向いている人の特徴ややりがいについてまで、気になる内容を詳細にまとめました。
「グラフィックデザイナーが気になっているけど、どんな職業なの?」「自分はグラフィックデザイナーに向いているかな?」と気になっている人、必見です。
グラフィックデザイナーとは?仕事内容
グラフィックデザイナーとは、チラシや雑誌・商品パッケージなどに用いるデザインを考え、形にする職業です。Adobe社の「Photoshop(フォトショップ)」や「Illustrator(イラストレーター)」などのデザインツールを駆使して、クライアントの要望やプロジェクトのコンセプトに基づいたデザインを制作していくのが大まかな流れ。よく「Webデザイナー」等の職業と混同されますが、デザインする対象が異なります。Webデザイナーはその名の通り「Webサイト」等のWebに特化したデザイン制作を行いますが、グラフィックデザイナーはポスター・チラシ・パンフレットといった3次元にある出版物がメイン。以下は、グラフィックデザイナーが携わることの多いデザインの例です。
- 雑誌の表紙、書籍のカバー
- 電車内広告
- 商品パッケージ
- CDのジャケット etc…
Webが急速に普及している今「紙媒体メインのグラフィックデザイナーにはもう需要がないのでは?」と感じる人もいるのではないでしょうか。事実、総務省の広告市場調査によれば、コロナウイルスの感染が拡大して以来、ネット広告(デジタル広告)は急激な成長を続けている真っただ中。2021年にはテレビ・新聞・雑誌・ラジオの「マスコミ4媒体広告」を上回っています。
しかし、デザインの基本的な考え方や各種グラフィックツールの使い方などは、Webデザイン業とそう大きくは違いません。グラフィックデザイナーとして「デザインの基礎」が身についているのであれば、Web媒体でのデザイン・マーケティング手法を+αで勉強するだけで、即戦力として活躍していけるのです。最初からWebデザイン一筋でやっている人と比べて「グラフィックデザイナーとして紙媒体での経験あり」といった人の方が希少性が生まれ、需要も高まることでしょう。
参考:グラフィックデザイン独学
グラフィックデザイナーの年収
グラフィックデザイナーの年収は、平均449万円です。日本の平均年収よりもやや高年収に位置する職業と言えるでしょう。また技術職であるグラフィックデザイナーは、実績やスキルが収入につながりやすい職業です。そのため、経験年数が長いほど年収が高くなる傾向が見られます。月給換算した場合は37万円、初任給は22万円程度が相場のようです。
中には、年収1,000万円を超えているグラフィックデザイナーもいるため、経験やスキルをしっかり積み重ねていけば、高収入も目指せるでしょう。
引用:求人ボックス 給料ナビ
グラフィックデザイナーに向いている人
グラフィックデザイナーは「グラフィック」という言葉が入っているだけあり「なんとなくデザインに関するセンスや知識が問われそう」と考えている人も多いのではないでしょうか。ここでは「グラフィックデザイナーに向いている人の特徴」として、一人のデザイナーとして活躍するためにぜひ備えておきたい能力や適正についてまとめました。あくまで目安ではあるものの、自分に当てはまるものがあるかどうか、ぜひチェックしてみてください。参考:Webデザイナーに向いている人
各種デザインツールの扱いに長けている人
グラフィックデザイナーとしてデザインを生み出すためには、種々のツールを使いこなす必要があります。代表的なものは以下3点です。- Photoshop
- Illustrator
- InDesign
こういったグラフィックツールを扱うことに抵抗がない人、またはすでに習得していて基本操作は問題ない人であれば、グラフィックデザイナーの仕事にもすぐになじんでいけるはず。
全くの未経験という人でも、昨今は参考書などの書籍、Webデザイン講座なども充実しているため、勉強に取り組むうえでのハードルはかなり低くなっている状態です。
コミュニケーション能力が高い人
グラフィックデザイナーは、ただ一人でデザイン制作をしていればいいわけではありません。どんな案件にも依頼してくれるクライアントがいて、一緒に作業を進めるチームメンバーがいます。制作を効率的に進行させ、クライアントの要望を満たしたデザインを納品するためには「コミュニケーション能力」は必要不可欠と言えるでしょう。なお、ここで言うコミュニケーション能力とは、クライアントのニーズをしっかりと聞き出すための「聴く力」や、チームで進めるうえで自分の意見をメンバーに届けるために必要な「伝える力」等です。周囲と適切な意思疎通を図ることができれば問題はなく、必ずしも話上手である必要はありません。
情報収集が得意・新しい技術に関心がある人
グラフィックデザイナーのようなクリエイティブ業では、流行(トレンド)をつかむことが非常に重要。同じようなデザインでも、流行を捉えて制作されているか否かで、消費者に与える印象は大きく違ってくるからです。作成したデザインが広告であれば、集客率や売上にも影響してくることでしょう。今はテレビや雑誌だけでなく、インターネットやSNSなど、情報収集の手段が非常に豊富にあります。「SNSは苦手だから…」などと避けることなく、積極的に新しい情報を取りにいくようにしましょう。集めた分だけ、デザインのボキャブラリーが豊かになることは間違いありません。
もちろんただ情報を集めるだけでなく「このトレンドは次のデザインに活かせるのではないか?」「この情報を取り入れたらデザインがキャッチーになるかも」といったような発想力(インスピレーション)も大切です。世の中への興味・関心が強く、自由な発想が得意な人ほど、グラフィックデザイナーに向いていると言えるでしょう。
批評を受け止め次に活かせる人
グラフィックデザイナーに限った話ではないものの、作成したものが「一発OK!」ということはほとんどありません。クライアントはもちろん、時にはチームメンバーから「お願いしていたものと違う」「ここはもう少し視覚的にわかりやすくした方がいいのでは?」といった批評(ダメ出し)を受けることもあるでしょう。そんなときに反発することなく「そういう考え方もあるのか」と次に活かしていける「打たれ強さ」も大切です。もちろん自分の意見を伝えることも大切ですが、頭ごなしに「その考え方は違う!」と否定してしまうようでは、デザイナーとしてはおろか人として成長することはできないでしょう。10人いれば10個の異なる考え方があるということを意識し、相手の主張をポジティブに受け止める精神をぜひ身につけておきたいところ。
グラフィックデザイナーとしての仕事の魅力とやりがい
ここからは、グラフィックデザイナーという仕事にはどのような魅力・やりがいがあるのかについて解説していきます。ここで紹介する内容をよく確認し「グラフィックデザイナーになりたい!」という気持ちを高めていきましょう。参考:グラフィックデザイナーはやめとけ?
頭の中のアイデアを形にできる
自分のアイデアや感情を表現する機会が豊富で、クリエイティビティを存分に発揮できる点は、グラフィックデザイナーならではの魅力と言えるでしょう。クライアントからの要望に対してチームメンバーと意見を出し合い、ああでもないこうでもないとアイデアを形にしていく過程は、まさにクリエイティブそのもの。ものづくりなどの創造的な作業が好きな人にとっては、制作段階から大きなやりがいを感じられるはず。
自分の作品が多くの人の目に留まる
優れたデザインを作れるグラフィックデザイナーになればなるほど、自分のデザインが他者の目に触れる機会が多くなります。電車内の中吊り広告や、商品パッケージなどはその筆頭です。街中で自分の制作したデザインを見かけるたびに「公に出せるようなデザインを作れるようになったんだ」という、達成感や自身の成長を感じられるはず。さらに、良いデザインを納品することができれば、当然クライアントから感謝されることもあるでしょう。精一杯作った作品に「ありがとう」と言ってもらえることは、他の何にも代えがたいやりがいです。
需要の高い分野に携われる
冒頭で説明した通り、インターネット広告市場は右肩上がりで拡大している最中。それに伴い「デザイン」は今後益々重要性を増す分野と言われており、成長の可能性も大きくなっています。需要が高まれば、それだけ携われる案件も増えるということ。今後も多種多様なデザイン制作に関与していけるという将来性の高さは、まぎれもなく魅力と言えるのではないでしょうか。しかしデジタル全盛の今、紙媒体などをメインとするグラフィックデザイナーとして活動し続けるのは少々もったいないこと。自分の市場価値を高め、どんどん新しい案件に参画していくためにも「Webデザイン」や「Webマーケティング」などの知識を兼ね備えたデザイナーに成長していくのがおすすめです。
グラフィックデザイナーになる方法
ここでは、グラフィックデザイナーになる方法を紹介します。書籍やオンライン学習を利用した独学でスキルを身につける
グラフィックデザイナーは、職業としての歴史も古いため多くの教材本が出版されています。またYouTubeでもスキルを学べるコンテンツが公開されており、独学でも十分にスキルを身に付けられる環境があると言えるでしょう。さらにオンライン教材を利用すれば、グラフィックデザイナーに必要な知識やスキルを体系的に習得できます。
独学の利点は、自分のペースで学べるところ。仕事や学業、家事との両立も可能です。
またスキル習得にかかる費用も抑えられるため、学習コストを抑えたい人や仕事や学業に忙しい人は、まず独学でスキル習得に挑戦してみましょう。
グラフィックデザインが学べる専門学校に通う
グラフィックデザインが学べる専門学校に通う方法もあります。専門学校では、グラフィックデザインの基本的な知識やソフトの使い方、実践的なスキルを体系的に学べる環境があります。また実習やインターン機会も豊富に設けられているため、卒業後は即戦力として活躍することも期待できるでしょう。
さらに専門学校の多くは業界と太いパイプを持っているため、就職が有利になるケースも多々あります。
一方で時間や金銭的なコストがかかるため、学習期間や学習コストに余裕がある人向けの学習法と言えるでしょう。
未経験で転職して働きながらスキルを身につける
未経験でも応募可能な求人に応募し、日々の業務を通じてグラフィックデザインの知識を身に付ける方法もあります。採用難が続く売り手傾向にある転職市場を背景に、最近では未経験者を採用し、自社で育成する企業も増えてきました。ただし、全く経験がない場合、普段の業務と平行してスキルの勉強に取り組まなければなりません。仕事と勉強の両立が求められる点においては、それなりの強い意志が求められるでしょう。
また未経験者可と謳う企業でも経験者からの応募があれば、経験者の採用を優先する可能性が高いため、転職活動が難航する可能性も否めません。転職活動が厳しくなること、また転職できたとしても就業後は仕事と平行して知識習得に励む気概が必要になることを理解しておきましょう。近年増えているWebデザイナーを目指すという選択肢もあります。
参考:未経験からWebデザイナーになるには
参考:未経験からグラフィックデザイナーは厳しい?
グラフィックデザインを学べるおすすめスクール3選
グラフィックデザイナーに必要なスキルを身につけるには、スクールで学ぶと効率的です。ここではおすすめのグラフィックデザインスクールを紹介します。RaiseTech デザインコース
未経験で学び始めると、1度の受講では全てを理解しきれないこともあるでしょう。RaiseTech デザインコースなら、オンライン授業を何度でも見返せます。理解が不十分な部分を繰り返し学習できるのがメリットです。週1回2時間行われるリアルタイムのオンライン授業も、過去の動画を見返して何度でも復習できます。講座を見るだけでは理解しきれなかった部分は、無期限のオンラインサポートで質問しましょう。受講期間中はもちろん、受講終了後もずっとサポートを受けられます。
また挫折することがないよう、週1回のグループミーティングで学習状況のチェックも実施。取り組み方に対するアドバイスも受けられるため、スキル習得まで学べます。
デジタルハリウッドSTUDIO by LIG
デジタルハリウッドSTUDIO by LIGはWeb制作会社が運営するスクールです。9万人以上のクリエイターを輩出したスクールならではのカリキュラムで、未経験からグラフィックデザイナーを目指せます。デザインの基礎的な知識はもちろん、Webマーケティングについても、現役クリエイターが講師として教えるLIVE授業で学習可能です。実践を通して学べるのも魅力のひとつといえます。スクールを運営するLIGのオウンドメディアに関する実務は、デザインの現場を知る良い機会です。
グラフィックデザイン講座は、4ヶ月で広告デザイン・DTP・企画の立て方まで身につけられるスケジュールが組まれています。前半2ヶ月でデザインの基礎を学んだら、後半2ヶ月でチラシ・ポスター・パッケージ制作を行いアウトプットしていく内容です。
Winスクール
Winスクールは300以上の講座を提供しているスクールです。グラフィックデザインを学べる講座は、以下にあげるものを含む21講座あります。学びたい内容や目的に合わせた講座を選べるのが特徴です。- Illustrator CC
- Photoshop CC
- デザイン制作実習
- クリエイター能力認定試験対策
- アドビ認定プロフェッショナル試験対策
- Illustratorデザイナー
- Photoshopデザイナー
- グラフィックデザイナー
- グラフィックデザイナープロ
- InDesign CC
- DTPデザイナー(InDesign)など
複数の受講スタイルから、自分に合う方法を選べるのもWinスクールならではです。講師1人につき生徒3人までの少人数制で学べる教室受講の他、個人レッスンを受けられるオンライン受講、教室受講とオンライン受講を組み合わせるハイブリッドレッスンがあります。
グラフィックデザイナーは将来性がある?
続いて、本章ではグラフィックデザイナーの将来性について解説します。紙媒体でのグラフィックデザインは需要が減少傾向にある
グラフィックデザインは、雑誌の休刊や新聞の発行部数変更、書籍の売上減少などから、減少傾向にあります。しかし広告や紙媒体といった印刷物の需要が完全にゼロになることは考えづらいため、一定の需要は見込めるでしょう。また紙媒体はWebよりも信頼性が高く、手に触れられる利点から紙媒体が好まれるシーンも多々あります。
とは言え、グラフィックデザインに固執するばかりでは、仕事量の減少に至る恐れもあります。グラフィックデザインのスキルを他のデザイン職に転換・拡張していく柔軟さも求められるでしょう。
インハウスデザイナーの需要が増加傾向にある
最近は、企業が自社専属のデザイナーを雇うケースも増加しつつあります。企業は、インハウスデザイナーと呼ばれる専属デザイナーを雇用することで、外注費を押さえ、かつ自社のブランドのブラッシュアップを図ることができます。
インハウスデザイナーは、労働環境や収入が安定している一方で、求められるスキルが多岐に渡るケースも少なくありません。しかし培ったスキルを駆使し、ブランドやデザインの質、可能性を高められる点は、クリエイター冥利に尽きる働き方であるとも言えるでしょう。
Webデザインはこれまで以上に増加が予想される
これまで紙媒体が中心だった広告やパンフレットなどがWebへと移行しつつあります。このような社会背景もあり、Webデザインの需要は近年急速に高まりを見せています。Webデザインとグラフィックデザインは共通点が多いため、グラフィックデザイナーからWebデザイナーへ転身、または両方の仕事を請け負うことも可能です。Webデザイナーに転身したとしても、グラフィックデザイナー時代の経歴が箔を付けてくれます。そのため、グラフィックデザイナーとしてのキャリアや経験を活かせば、Webデザイナーとしての成功も十分叶えられるでしょう。
参考:Webデザイナーは多すぎ?
グラフィックデザイナーに向いている人に当てはまったらスキル習得にチャレンジしてみよう
当記事では「グラフィックデザイナー」という職業が気になっている人に向けて、グラフィックデザイナーの仕事内容をはじめ、どんな人に向いているのか・やりがいはあるのかといった内容についてまで、詳細に解説してきました。インターネット広告市場が急拡大している今、3次元の媒体をメインとするグラフィックデザイナーよりも、Webデザイナーの方が注目を集めているのは事実です。一方で、いずれの職業においても「基本的なデザインスキル」や「習得すべきグラフィックツール」などはほぼ共通であるため、今からグラフィックデザイナーになることに意味がないわけではありません。
自分の作成したデザインが世の中に発信され、多くの人の目に留まる可能性もある、非常にやりがいのある仕事です。本記事で紹介した「グラフィックデザイナーに向いている人の特徴」に少しでも当てはまった人は、独学で勉強したり、副業を始めてみたりと、ぜひ行動に移してみてください。