Unreal Engine（アンリアルエンジン）で何ができる？始め方から活用事例まで徹底解説

Unreal Engineとは？

Unreal Engine（アンリアルエンジン）は、Epic Gamesによって開発されたゲームエンジンで、ゲーム開発や3Dコンテンツ制作を行うためのツールです。初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応しており、その高いパフォーマンスと柔軟性で知られています。ここでは、Unreal Engineの基本情報や特徴について詳しく見ていきましょう。

Unreal Engineの概要

Unreal Engineは、Epic Gamesが開発・提供する高性能なゲームエンジンです。1998年にリリースされたFPS（ファーストパーソン・シューティング）ゲーム『Unreal』で初めて実装されましたが、その後進化を遂げ、現在ではゲーム開発だけでなく映画、アニメーション、建築、シミュレーションなど幅広い分野で活用されています。

大きな特徴は、リアルタイムで高品質な3Dレンダリングを実現し、物理シミュレーションやAIなどの高度な機能を備えている点です。また、ビジュアルスクリプト「Blueprint」を使用することで、プログラミングの知識がなくても直感的に開発が可能です。

Unreal Engineのライセンス形態

Unreal Engineは、基本的に無料で利用できるライセンス形態を採用しています。個人の学習や非商業プロジェクトに加え、小規模な開発でも高性能なツールを無償で活用可能です。

ただし、商業プロジェクトにおいては一定の条件下でロイヤリティが発生します。具体的には、1プロジェクトあたりの総収益が1,000ドル（約10万円）を超えた場合、その収益の5％をEpic Gamesにロイヤリティとして支払う必要があります。また、Epic Gamesストアを通じて販売される場合は、このロイヤリティが免除されるなどの特例もあります。

この仕組みは、初心者やインディー開発者が初期投資の負担を軽減しつつ、成功した場合にのみ適切なコストを負担する公平なモデルとして設計されており、多くのデベロッパーから幅広く支持されています。
参考：Unreal Engine 商用ゲーム開発のためのガイドライン｜Unreal Engine

Unityとの違い

Unreal EngineとUnityは、どちらも人気の高いゲームエンジンとして知られていますが、その特徴や用途には大きな違いがあります。

Unreal Engineは、リアルタイムレンダリングで高品質なグラフィックを実現できる点が大きな強みで、特にフォトリアルなビジュアルが求められるゲームや映像制作に適しています。一方、Unityはシンプルなインターフェースと軽量な動作が特徴で、2Dゲームやモバイル向け開発に適した環境を提供しています。

また、Unreal EngineはC++とビジュアルスクリプトのBlueprintを使用し、UnityはC#を採用しているため、開発者のスキルや好みによって選択肢が異なります。

どちらも強力なエコシステムと多彩なツールを持っているため、ゲームプロジェクトの規模や目的に応じて適切なエンジンを選ぶことが重要です。
関連記事：Unity（ユニティ）とは？ゲーム開発プログラミング言語を解説

Unreal Engineで何ができる？できること

Unreal Engineは、その強力な機能と柔軟性を活かして、ゲーム開発だけでなくさまざまな分野で活用されています。ここでは、Unreal Engineを使用してどのようなことが実現できるのか、具体的な特徴を挙げながら見ていきましょう。

プログラミング不要でゲーム開発

Unreal Engineは、プログラミングの知識がなくてもゲーム開発を始められる環境を提供しています。その鍵となるのが「Blueprint」と呼ばれるビジュアルスクリプト機能です。

Blueprintは、コードを一切書かずにノードをつなげるだけでキャラクターの動きやゲームの仕組みを設定できるツールで、これにより初心者でも直感的に開発を進められます。豊富なテンプレートやアセットが用意されているため、基礎的な知識があれば短期間でクオリティの高いゲームを作ることが可能です。
関連記事：ゲームの作り方とは？プログラミング初心者がゲーム作成するときの準備＆手順

2D/3Dキャラクター制作

Unreal Engineでは、2Dや3Dのキャラクターを簡単かつ効率的に制作するためのツールが充実しています。特に3Dキャラクター制作では、モデリング、アニメーション、スケルタルリグ（キャラクターに骨格を設定して動きを付ける仕組み）といった機能を組み合わせて高度な表現が可能です。

また、Epic Gamesが提供する無料の「MetaHuman Creator」を活用すれば、リアルで精巧な3Dキャラクターをわずかな手順で作成できます。

2Dゲーム向けには、スプライトの管理やアニメーションの設定が簡単に行えるツールが備わっており、初心者でも手軽に魅力的なキャラクターを作成できます。
関連記事：3DCGスクールおすすめ7選！社会人向け専門学校や無料で受講できるのか解説

リアルなワールド構築

Unreal Engineでは、現実世界のようなリアルな環境を簡単に構築できます。

ランドスケープツールを使えば、山や谷、平地などの地形を自由にデザイン可能。「Foliageツール」を利用すると、木や草、岩などの自然要素を直感的に配置できます。

また、リアルタイムライティング機能により、時間帯や天候の変化をリアルに表現することも可能です。物理ベースレンダリング（PBR）を採用しているため、マテリアルの質感や光の反射が非常にリアルに描写されます。

このような機能によって、初心者でもクオリティの高いワールドデザインを手軽に作成でき、ゲームや映像の中に魅力的な世界観を構築できます。

3Dアニメーション制作

Unreal Engineでは、高度な3Dアニメーションを効率よく制作できます。スケルタルリグを活用し、自然でリアルな動きを簡単に作成可能です。

また、「アニメーションブループリント」を使えば、キャラクターの動作をプログラミングなしで制御できます。モーションキャプチャーデータを直接取り込み、キャラクターにリアルな動作を反映させることも可能です。

Unreal Engineはリアルタイムレンダリングを採用しており、アニメーションの動きを即座に確認できるため、制作の効率が大幅に向上するのも魅力です。

Unreal Engineを使った具体的な活用事例

Unreal Engineは、その柔軟性と高性能さを活かして、ゲーム開発以外にもさまざまな分野で活用されています。ここでは、Unreal Engineがどのように使われているか、具体的な事例を挙げながら見ていきましょう。

ゲーム業界での成功事例

Unreal Engineは、その高い性能と豊富な機能によって、数多くのヒットタイトルを生み出してきました。特に、フォトリアルなグラフィックや高度な物理シミュレーションを必要とする大型ゲーム開発で多く採用されています。

代表的なゲームタイトルには、以下のようなゲームが挙げられます。

• フォートナイト（Epic Games）
• Gears of Warシリーズ（Epic Games）
• Final Fantasy VII Remake（スクウェア・エニックス）
• PUBG: Battlegrounds（PUBG Studios）
• ストリートファイターV（カプコン）
• ヨッシークラフトワールド（任天堂）
• テトリス エフェクト（Monstars/Resonair）
• The Outer Worlds（Obsidian Entertainment）
• 8番出口（KOTAKE CREATE）

これらのタイトルは、Unreal Engineの柔軟性とパワーを活かし、それぞれの特徴に合った独自の体験を提供しています。

映像制作やバーチャルイベントへの応用

Unreal Engineは、ゲーム開発以外にも映像制作やバーチャルイベントの分野で幅広く利用されています。リアルタイムレンダリング技術により、効率的かつ高品質な映像表現が可能です。

代表的な事例をいくつか挙げてみましょう。

• 『マンダロリアン』（映像作品）　参考：公式サイト
• 『トラヴィス・スコットのフォートナイトライブ』（バーチャルコンサート）　参考：公式サイト
• 『ザ・ライオン・キング（実写版）』（背景や環境の描写）参考：公式サイト

このようにUnreal Engineは、映像やイベント分野においても新しい可能性を切り開き、伝統的な制作方法に変革をもたらしています。
関連記事：映像制作で副業！稼げるまでどれくらい？どんな案件がある？

医療や建築分野での非ゲーム用途

Unreal Engineは、ゲーム開発以外の幅広い分野で、その高性能な3D表現とリアルタイム処理の技術が活用されています。特に医療や建築分野では、以下のような用途で注目されています。

• 手術シミュレーション　参考：公式サイト
• 医療アニメーション制作（製薬業界や医学教育で活用）　参考：公式サイト
• 製薬研究の支援　参考：公式サイト
• ハビタット67の再現（建築家モシェ・サフディ氏の象徴的な集合住宅をデジタルで再現）　参考：公式サイト
• バーチャルギャラリー「Multiplication 」を制作（建築遺産を教育目的で体験）　参考：公式サイト

このようにUnreal Engineは、ゲーム開発の枠を飛び出し、医療や建築分野での効率化や革新にも寄与しています。

Unreal Engine5の新機能と進化ポイント

2022年4月にリリースされたUnreal Engine5は、ゲーム開発や3Dコンテンツ制作の可能性をさらに広げるために数々の新機能を搭載し、大きく進化を遂げました。ここでは、Unreal Engine5で導入された注目の機能や、従来バージョンとの進化ポイントを詳しく解説します。

仮想化ポリゴンズ技術による高精細表現

Unreal Engine 5の注目機能の一つが、仮想化ポリゴンズ技術「Nanite（ナナイト）」です。

Naniteは、膨大な数のポリゴンで構成された3Dモデルを効率的にレンダリングする技術で、これにより従来のゲームエンジンでは難しかった超高精細なモデルの表示が可能になりました。

また、数十億ポリゴンを持つ詳細なモデルでも事前に簡略化する必要がなく、リアルタイムでレンダリングできるため、リアリティを追求したビジュアル表現が飛躍的に向上しました。特に岩や建物、自然物といった複雑なディテールが求められる場面で、その効果を発揮します。

動的グローバルイルミネーション技術

Unreal Engine5では、リアルタイムの動的グローバルイルミネーション技術「Lumen（ルーメン）」が導入されました。

Lumenは、シーン内の光の反射や拡散をリアルタイムでシミュレーションする技術で、これにより現実に近い照明効果を簡単に実現できます。例えば太陽光が壁に反射して部屋全体を柔らかく照らす表現や、懐中電灯の光が物体に反射して生まれる微細な明るさの変化も、リアルタイムで再現可能です。

Lumenは環境の変更にも即座に対応できるため、時間帯や天候の変化をリアルに表現できます。この技術により、手間のかかるライトベイク（照明情報の事前計算）が不要になり、制作の効率化と表現力の向上が同時に実現できるようになりました。

新しいUIとWorld Partitionによる効率的な開発環境

Unreal Engine 5では、開発者がより効率的に作業を進められるよう、新しいユーザーインターフェース（UI）と「World Partition」という機能が導入されました。

新しいUIは操作性と視認性が向上し、初心者でも直感的に使える設計になっているのが特徴です。整理されたツールバーやモジュール化されたレイアウトにより、複雑なプロジェクトでもスムーズに進行できます。

また「World Partition」は、大規模なワールドを効率的に管理するための革新的なシステムです。ワールド全体を1つの連続した空間として扱いながら、必要な部分のみをストリーミングして編集できます。これにより、巨大なオープンワールドプロジェクトでも、パフォーマンスを維持しながら効率的に開発することが可能になりました。

初心者向けUnreal Engineの始め方ガイド

Unreal Engineは初心者でも学びやすい環境が整っており、基本的なセットアップやツールの操作を理解すれば、すぐにクリエイティブな制作を始められます。ここでは、Unreal Engineのインストールから基本的なプロジェクト作成までを、実際の画面を交えながら詳しく解説します。

インストール手順

Unreal Engineを使い始めるには、Epic Games Launcherをインストールする必要があります。以下の手順に従って進めてください。

1.公式サイトへアクセス
Unreal Engine公式サイトにアクセスし、「ランチャーをダウンロード」ボタンをクリックします。

出典：Unreal Engine公式サイト

2.Epic Games Launcherをインストール
ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを完了させます。

インストール後、「UPDATE」と表示された場合は、最新バージョンへのアップデートが必要です。「UPDATE」ボタンをクリックして処理を続行し、アップデートを完了させてください。

3.Epic Gamesアカウントを作成またはログイン
Epic Games Launcherを起動後、アカウントを作成するか、既存のアカウントでログインします。

アカウントを持っていない方は、XboxやPlayStation、Nintendoなどのゲームアカウントのほか、FacebookやGoogle、Appleなどのアカウントからログインしてアカウント作成ができます。

4.Unreal Engineをインストール
ログイン後、Launcher内の「Unreal Engine」タブをクリックし、右上にある「エンジンのインストール」ボタンを選択します。インストール先を確認して実行してください。

5.インストール完了

これでUnreal Engineのインストールは完了です。

初期設定とプロジェクト作成方法

Unreal Engineを起動したら、最初のプロジェクトを作成する準備をしましょう。以下の手順で、初期設定からプロジェクト作成までを進めていきます。

1.Unreal Engineを起動
Epic Games Launcherから「Unreal Engine」を選択し、「起動」ボタンをクリックします。初回起動時には少し時間がかかる場合があります。

2.プロジェクトの開発カテゴリを選択
Unreal Engine上で新規プロジェクトを作成します。まず、プロジェクトブラウザの左メニューから使用したい開発カテゴリを選択します。

なお、開発カテゴリには以下の種類があります。

• ゲーム:
• 映画、テレビ、ライブイベント
• 建築
• 自動車、プロダクトデザイン、製造
• シミュレーション

3.プロジェクトのテンプレートを指定
開発カテゴリを選択すると、利用できるテンプレートが表示されるので、必要なものを選択しましょう。選択できるテンプレートは、2で選択したカテゴリに基づいています。

4.プロジェクト設定を指定
テンプレートを選んだ後、以下の項目を設定します。

• ブループリントまたはC++: 初心者は「ブループリント」を選択
• ターゲットプラットフォーム: デスクトップまたはモバイル
• 品質プリセット: 初心者は「スケーラブル」を選択
• スターターコンテンツ: 必要に応じてチェック
  ※スターターコンテンツには、シンプルな3Dモデル（スタティックメッシュ）や基本的なテクスチャ、マテリアルが含まれます。Unreal Engineを試してみたいときや学習を始めるときに役立つので、初心者はチェックしておくのがおすすめです。

5.プロジェクト名と保存先を設定
プロジェクトの名前を入力し、保存先を選んで「作成」ボタンをクリックします。

5.プロジェクトの確認
プロジェクトが生成され、Unreal Engineのエディタ画面にロードされます。これで基本的な開発環境が整いました。

参考：新規プロジェクトを作成する｜Unreal Engine公式サイト

これで基本的な開発環境が整いました。オンライン教材や書籍などの学習コンテンツを活用し、基本操作の学習から始めましょう。

Unreal Engineを学ぶ際の注意点とコツ

Unreal Engineは強力なツールですが、初めて学ぶ際には特有の難しさもあります。ここでは、初心者が陥りがちなポイントや、学習を進める上で役立つコツを見ていきましょう。Unreal Engineを楽しみながら習得するためのヒントとして活用してください。

PCスペックを確認しよう

Unreal Engineは高度なリアルタイムレンダリングを行うため、推奨スペックを満たさないPCでは動作が遅くなり、学習効率が大きく低下する恐れがあります。

推奨される基本スペックとして、64ビットOS、16GB以上のRAM、高性能なグラフィックカード（NVIDIA GTX 1080以上など）、十分なストレージ容量（SSD推奨）が挙げられます。大規模プロジェクトを扱う場合は、さらに高性能なCPUやGPUが必要になることがあります。

公式サイトやドキュメントで最新のシステム要件を確認し、自分のPCが適しているかチェックしておきましょう。もしスペック不足が懸念される場合は、クラウドベースの仮想環境を活用する方法もあります。
参考：ハードウェアおよびソフトウェアの仕様｜Unreal Engine

最初はBlueprintを活用しよう

Unreal Engineには、プログラミングの知識がなくても簡単にゲームやアプリケーションを開発できる「Blueprint」というビジュアルスクリプト機能が搭載されています。

Blueprintは、コードを書く代わりにノードをつなぎ合わせることで、キャラクターの動きやイベントの設定などを直感的に作成できるため、初心者がゲーム開発の基本的な流れを学ぶのに最適です。視覚的に動作を確認しやすいため、開発プロセス全体を把握しやすく、デバッグも効率的に行えます。

最初はBlueprintを活用して基礎を固め、その後C++などの高度なスクリプトに挑戦することで、段階的にスキルを磨けるようになるでしょう。

公式リソースを活用しよう

Unreal Engineを効率的に学ぶには、Epic Gamesが提供する公式リソースを活用するのが最適です。公式リソースは信頼性が高く、初心者から上級者まで幅広いユーザーに対応した内容が揃っています。

• 公式ドキュメント（Unreal Engineの基本から高度な機能までを網羅した解説が記載）
• チュートリアル動画（初心者向けのプロジェクト作成手順や特定の機能の使い方を解説）
• Unreal Engineフォーラム（開発者同士で質問や情報交換ができるコミュニティ）

このようなリソースを活用することで、自己学習を効率化し、Unreal Engineの可能性を最大限に引き出せます。公式リソースを日常的に参照しながら学習を進めましょう。

Unreal Engineを学んで開発できるようになろう

Unreal Engineは、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに対応した強力なゲームエンジンです。その高度な機能と柔軟性により、ゲーム開発だけでなく映像制作や建築、医療など多様な分野で活用されています。

Unreal Engineを通じて、自分のアイデアを形にする楽しさや、創造力を最大限に発揮する喜びを体感しましょう。学びを深めて、Unreal Engineでの開発をぜひ始めてみてください。