最近ではJavaScriptやPythonなどのWebプログラミング言語に人気を奪われ「ちょっぴり古い言語」と扱われがちですが、今なお社会の基幹システムにはC言語および、そこから派生したC++、C#などが使われています。
いわば永遠のベストセラーといえるC言語の実力の秘密はどこにあるのか?
その歴史から特徴、学び方まで徹底的にわかりやすく解説します。
C言語とは?
C言語が生まれたのはまだコンピュータが世の中に広がる以前の1972年です。AT&Tベル研究所のデニス・リッチー氏を中心として開発されました。
以来、じつに50年間、世の中にもっとも影響力の大きいプログラミング言語でありつづけています。
ここではC言語がどんな特徴を持っているか紹介します。
幅広い用途に使われる汎用プログラミング言語
C言語は「汎用プログラミング言語」に分類されます。なお、ここでの「汎用」の意味は「特定の用途やハードに限定されない」くらいの意味にとらえてください。C言語はもとはといえば、UNIXと呼ばれる20世紀に主流だった種類のコンピュータのために開発されたプログラミング言語でした。
そこから広がってPCはもちろん家電や自動車に組み込まれているマイコンやスーパーコンピュータまで多様なハードを動かしてきました。
人気の面ではJavaScriptなどwebプログラミング用の言語に追い抜かれましたが、C言語はいまなお社会の基幹を成すコンピュータに不可欠な存在です。
機械に直接アクセスできる言語
現在のパソコンでは、OS(WindowsやMac OS、Linuxなど)の上にアプリケーション(WordやExcelなど)があり、個別にプログラミングされています。Webサイトの場合はデザインの要素が加わるので、さらに階層が深くなります。WebブラウザであるChrome、Firefox、Edgeなどの上にHTMLとCSSでWebサイトが作られ、そこにクレジットカード決済などの機能がJavaScriptなどで書かれる……といった形です。
これに対してC言語は、パソコンやマイコンなどの機械に直接アクセスするプログラミングに向いていると言われています。
C言語によるコーディングの特徴は?
C言語は開発された時代はまだコンピュータの黎明期でした。C言語自体、0と1だけですべてをプログラミングする機械語から発展した言語です。そのため「人間」よりも「機械」の思考に近いといわれ、最近のプログラミングに慣れ親しんだ人からは難解とも言われてきました。
確かに、ソースコードの大文字と小文字が区別されるなど現在の言語に比べて分かりにくい部分も多々あります。
一方で機械語に近いぶん「コンピュータの思考形態」を知るためにはC言語の学習以上にいい方法はないと言われます。
C++やC#との違いは?
C言語のほかにC++やC#と呼ばれるプログラミング言語もあります。ややこしいネーミングで、プログラミングに詳しくない人からすれば難解ですね。C++はC言語から直接発展した言語です。プログラミングの難解さを大部分解消し、容易にしました。
C#は、C++から発展したJavaからさらに発展した言語で、C言語の痕跡はあまり残していないようです。
さまざまな派生言語を持つC言語。「現在ある多くのプログラミングの源流にあり現在も多方面に使われているベーシックな言語」と定義できそうです。
C言語でできること
汎用性が高いといわれるC言語ですが、C言語でできることは基本的に以下の3つです。- OS(オペレーティングシステム)の開発
- 組み込みシステム開発
- 基幹系システム開発
OS(オペレーティングシステム)の開発
C言語を使ってOS(オペレーティングシステム)の開発ができます。そもそもOSとは、ハードウェアの制御・管理を担っているシステムのこと。また、ハードウェアというのは、パソコンでいうディスプレイやマウス、キーボードにあたるものを指します。
メモリー制御を得意とするC言語はパソコンやスマートフォンといった生活必需品の根幹を支えているのです。
組み込みシステム開発
C言語はテレビや炊飯器、レンジといった家電製品の組み込みシステム開発によく利用されます。電子機器を動かすためには高速処理が求められますが、プログラム高速化の手段としても使われるC言語が組み込みシステム開発に向いているといえるのです。
なお、組み込みシステムはIoT機器や産業機械でも利用されています。
基幹系システム開発
C言語は企業や組織を管理する基幹系システムの開発に利用されることが多々あります。膨大なデータベースの処理が集中する基幹系システムの場合、プログラムの処理速度が業務の効率化に大きく影響。処理速度はもちろん安定性や厳密性も求められる分野ではありますが、汎用性の高いC言語がよく使われています。
世の中でC言語を使って働くプログラミング関連の仕事
歴史あるプログラミング言語、C言語をマスターした人材はどんな分野で働いているのでしょうか?活躍分野をまとめてみました。上流プログラマー
現在C言語が使われているのは社会の基幹システムやパソコンのOSなど、プログラミングの世界では「上流」と呼ばれる分野が多くなっています。たとえば金融機関の社内システムや官公庁のシステムといった「派手ではないが世の中で重要な仕事」の比重が高そうです。
また新規開発だけではなく過去につくられたシステムの更新・改良などにも力は発揮できるでしょう。
90~00年代につくられた伝統的なシステムに関連できるのもC言語を使える人材ならではでしょう。
自動車の電装品メーカー
たとえば「エアバッグをふくらませる」「ワイパーを動かす」など自動車部品の世界ではワンチップマイコンと呼ばれる部品が使われています。ここではいまなおC言語の独壇場。OS部分からアプリケーション部分までトータルに関われるのでプログラマーに人気の高い分野です。
ゲーム開発/アプリケーション開発
プレイステーションやNintendo Switchなどのゲームはインターネットとの接続を前提としています。一方で、ネット接続を前提としないゲーム分野ではC言語がよく使われます。また、パソコンのアプリケーションなどでも基礎部分はC言語またはC++で組まれて必要なところだけJavaなどの言語によるプログラムを付け加えるケースが多くなっているようです。
C言語を使う人材に共通するのは「ベーシックな部分に強い!」点にあるといえるでしょう。さまざまな分野で大黒柱的な活躍をしています。
ロボット開発
ロボット開発の現場でもC言語が使われています。ロボットというと、ペッパーくんのような人型ロボットを連想するかもしれません。しかし、工場などではさまざまな産業用ロボットが活躍しています。それらを制御するために、C言語によるプログラミング技術が必要となります。その他、いわゆる「組み込み系」と呼ばれるものにはC言語が使われていることが多いです。洗濯機や電子レンジといった、人間の命令を受けてそれに応じた動きをする機械はプログラミングによって制御されています。
子供向けにもロボットスクールが開講されていますが、ここでもC言語を用いることがあります。電子工作の比重も大きいですが、それを好きに動かすためには、C言語によるプログラミング技術の習得が欠かせません。
C言語を学ぶメリット・デメリット
C言語を学ぶメリット | C言語を学ぶデメリット |
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組み込み系・IoT開発の需要が高まっている昨今においては、C言語を扱うプログラマーの将来性は明るく、IT系職種を目指す人の間でも人気が高いプログラミング言語スキルの一つです。C言語に影響を受けたプログラミング言語も多いため、C言語の知識を幅広く活かせる可能性も高いでしょう。
また、C言語を学ぶデメリットは、なんといっても難易度の高さ。「C言語の文法はわかりにくい」と言われることも多いうえに、基幹系システムなど重要度の高いシーンで利用されるため高い正確性も求められるのです。
C言語のかしこい学び方とは?
流行の言語ではないけれど、社会の基幹をなすC言語を使いこなせる人材になる学び方をまとめてみました。難しいが、はじめに学ぶのに向いている
C言語を学ぶとき、「むずかしい」のは覚悟しましょう。- 他の言語では考えなくてもいいメモリ管理やポインターまで視野に収める必要がある
- 既存のモジュールが少なく、一つ一つの機能をコーディングする
- デバッグの手間が他言語より大きい
一方で、この言語を最初にマスターしておくとあとあと楽になるメリットもありそうです。
- C言語から派生した言語が多いのでC++など別の言語のマスターが早い
- ハードウェアのアーキテクチュアまで理解できる
相談に乗ってくれる人は必須!
「役に立つけどむずかしい!」C言語ですから、書籍やネットで独学するのは困難に思われます。じぶんなりに考えてサンプルプログラミングを作成しても、何度も何度もエラーが出て泣きたくなる……それが「C言語あるある」です。
C言語を学ぶなら、アドバイザーは不可欠です。
スクールで学んだり、技術コミュニティで質問したり。「困ったときに助けてくれる人」のもとで学びはじめるのが挫折を防ぐコツかもしれません。
集中的に学べるスクールを選ぶのもよし!
世の中のパソコンスクールの多くは「短期間学習」を追求しているようです。C言語を学ぶときには、あせりは禁物。時間的な余裕を持ってはじめましょう。
1年程度の長期間の通学を覚悟する。または週2、3回集中的に学べるスクールを選ぶ。
本腰を入れて学べばかならずそれに応えてくれる、それがC言語の学習です。
C言語が学べるおすすめのプログラミングスクール
ここでは、C言語が学べるおすすめのプログラミングスクール3選を紹介します。Winスクール

お得にC言語を学べる給付金制度が利用できるのは、Winスクールです。スクールは全国に55校あり、オンライン授業で個人レッスンにも対応しています。Winスクールの「C言語プログラミング講座」は、全24回となっています。
カリキュラムでは、演算や処理の繰り返し、ファイル入出力や標準ライブラリなどを学べます。受講料は、入学金と教材費込みで202,400円(税込)となっています。詳しい受講内容が知りたい場合は、公式サイトから電話・オンライン説明会に申し込んでみましょう。
侍テラコヤ

累計35,000名以上の指導実績を誇るのは、侍テラコヤです。入会金不要で月額2,980円~(税込)の受講料であるため、費用を抑えてC言語を学べることがメリット。1ヵ月間全額返金保証があるため、学習に挫折してしまうか心配な人に向いているスクールだといえるでしょう。
40種類以上の教材が学習し放題だから、プログラミングを幅広く学習できるスクールとしても知られています。最も人気があるベーシックプランは、毎月2回のレッスンで月額4,180円(税込)です。なお、C言語に対応しているのはレッスンではなく、Q&Aのみであるため注意したいですね。
KENスクール

業界で経験豊富な講師陣が丁寧に指導することで高い評価を得ているのは、KENスクールです。フリータイム制を採用しており、複数の校舎を併用可能であるため、仕事をしながら通学しやすいスクールとしても知られています。
KENスクールの「Cプログラマー養成コース」は、受講時間が60時間で受講料が306,900円(税込)となっています。コースでは、C言語の基本構文や標準ライブラリの活用方法などを学習できます。C言語の基礎から応用まで学べるため、プログラミング初心者に向いている講座だといえるでしょう。
未経験からC言語を学んでエンジニアになる方法
C言語は難易度が高いと言われますが、需要の高まりを受けて「未経験からC言語を学んでエンジニアになりたい」という人もいるでしょう。そこで、未経験からC言語を学んでエンジニアになるための方法を2つご紹介します。
独学でスキルを身につけ転職エージェントを利用する
1つ目の方法は、独学でスキルを身につけ転職エージェントを利用する方法です。転職市場のプロであるエージェントなら、個人のスキルに合った企業をマッチングしてくれます。C言語の独学は簡単ではありませんが、正しくかつ根気強く学べば不可能でもありません。実務で求められる一通りの知識と技術が身に着けば、転職エージェントで自分に合った企業を見つけられるでしょう。
プログラミングスクールで学習する
一定期間で着実にスキルを身に着けたい場合はプログラミングスクールでの学習がおすすめです。プログラミングスクールの多くは3ヶ月~半年ほどの受講期間で必要なスキルを網羅できるというもの。プログラミングスクールの中にはカウンセリングやメンタリング、質問チャットや転職支援など、受講生のニーズに合った手厚いサポートを用意しています。
時間を無駄にしたくない人やC言語スキルを確実に転職につなげたい人はプログラミングスクールを検討してみましょう。
C言語の案件を探せるフリーランス向け案件サイト
Tech Stock

Tech Stockは、サービス立ち上げから19年の信頼と実績を誇るフリーランスエンジニア向けの案件紹介サイトです。
C言語を必要とする案件は、1866件(2023年4月時点)掲載されています。
また勤務地(フルリモート含む)や報酬単価などの絞り込みもできるため、豊富な求人の中からマッチした案件を探すことができるでしょう。
さらにTech Stockでは、登録後すぐにコーディネーターとの面談が設定され、案件や仕事についての希望を丁寧にヒアリングしてくれます。そのため、自身のC言語のスキルを活かせる仕事がきっと見つかるでしょう。
レバテックフリーランス

レバテックフリーランスは、18年の実績を誇るITエンジニア案件に特化型のフリーランスエンジニアエージェントです。
参画前から参画後まで、テクニカルカウンセラー・企業担当・フォロワーの3つのプロから総合的サポートを受けられます。
またC言語の案件も豊富に取り扱っており、C言語の中でも『C++』『Java』『C#』と細かく案件を絞り込むことができます。
案件には「組織のプレースタイル」「働く人の価値観」「業務の忙しさ」など、10以上の評価項目評価が公開されています。
そのため応募前にどんな傾向の企業・案件なのかをイメージできるでしょう。エントリー後・案件ジョイン後のミスマッチを防げるため、自分の強みを活かせる案件を効率的に見つけられます。
まとめ|C言語は流行に左右されないプログラミング言語
「頑固で頼れる」。それがC言語のイメージではないでしょうか。プログラミング言語の世界にも流行はあり、お金になりやすいスキルは毎年のように変わっていきます。目先の利益は大きいものの、主流から外れたときの失敗感は大きくなると言えるでしょう。
その点、C言語は派手さはないものの滅びない安定感ある言語です。
万一、滅びたとしても学んだ知識は他の言語のプログラミングにも生かせるので安心ですね。
高い山ほど登りがいがある!チャレンジする手応え十分な目標になってくれるでしょう。