平成30年からの新学習指導要領、プログラミング以外は何がどうなる?

平成30年からの新学習指導要領、プログラミング以外は何がどうなる?
学習指導要領の改訂によって必修化された小学校でのプログラミング教育。コンピュータが社会で広く活用され、新たな技術が次々と登場する現代に対応することを目的としています。

ところで今回の改訂では、プログラミング以外にどのような点が変更になるのでしょうか。このコラムでは、学習指導要領改訂までの流れを振り返りながら、特に気になる「英語」「道徳」について解説します。

これまでの学習指導要領は「詰め込み」→「ゆとり」→「脱ゆとり」


今回の改訂のねらいを分かりやすくするため、これまでの改訂を簡単に振り返ってみましょう。

※年度はいずれも、小学校で実施された年度です。

昭和55(1980)年の改訂では、これまでの「詰め込み型教育」を見直すために、現在でも賛否両論ある「ゆとり教育」がスタートしました。学ぶ内容を絞り込み、ゆとりのある授業づくりを目指したわけです。

ゆとり教育はその後、平成14(2002)年の改訂まで続きます。この平成14年の改訂で、学校は完全週休二日制となり「総合的な学習の時間」がスタートしたのでした。


ところが「ゆとり教育」は、日本のPISA(OECD生徒の学習到達度調査)での順位を大きく落としてしまいます(※議論もあります)。

この「学力低下問題」を受けて、前回の改訂(平成23(2011)年)では「脱ゆとり教育」が掲げられ、授業時数が増加したのでした。

今回の改訂のねらい


「詰め込み型」から「ゆとり」へ、「ゆとり」から「脱ゆとり」へ、という流れで行われた学習指導要領の改訂。では、今回の改訂では何がねらいとされているのでしょうか。

それは、簡単に言うと「現代に対応できる、新たな『学び』(=生きる力)」です。

文科省が出している「幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイント」を見ていきましょう。「改訂の基本的な考え方」として、「子供たちが未来社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成」「社会に開かれた教育課程」と示されています。


変化の激しい現代だからこそ「何を、どれくらい学ぶか(勉強の内容)」だけではなく、「どのように学び、活かすか(知識の活用方法)」が必要になる。だからこそ、社会のみんなで子供の教育をしていきましょうというわけです。

「生きる力」を育む方針のもと、すべての教科は3つの柱で再整理されることになりました。

①知識及び技能(=学ぶ内容)
②思考力、判断力、表現力等(=学んだ内容をどう活用するか)
③学びに向かう力、人間性等(=どのように学び、社会と関わるか)


知識をただ覚えるのではなく、どのように生かし、社会へとつなげるか?が重視されているわけですね。


具体的には何が変わるか


以上で、改訂の大きなねらいを確認しました。では、小学校では具体的に何が変わるのでしょうか。

5・6年生では「外国語(英語)」が正式な教科に!


これまでの学習指導要領では、小学校5・6年生に「外国語活動」がありました。「外国語活動」とは、外国語を通じたコミュニケーションをとることで、他の言語や文化に関する理解を深めるための活動です。外国語を「聞く」「話す」ことが中心になっていました。

言語そのものを身につけるというよりは、他の言語を使うことで「こんな文化があるんだ」「おもしろい!」「もっと知りたい!」と考えるきっかけにする、というイメージですね。


今回の改訂ではこの「外国語活動」が前倒しされ、小学校3・4年生での実施となりました。

そして小学校5・6年生では「外国語」が教科となり、「聞く」「話す」に加えて「読む」「書く」も加わります。授業時間数も2倍に増え、週2コマに。成績のつけられる正式な教科になったわけです。

「道徳」が教科に!


これまでは「道徳の時間」として行われてきた道徳が、今回の改訂で「特別の教科 道徳」となり、正式な教科となります。特別な時間という位置付けから、検定教科書が使われる「教科」になるわけです。



文科省が平成27(2015)年に出した「小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳」を見てみると、このような課題が挙げられています。

「確固たる成果を上げている学校がある一方で、例えば、歴史的経緯に影響され、いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があること、他教科に比べて軽んじられていること、読み物の登場人物の心情理解のみに偏った形式的な指導が行われる例があることなど,多くの課題が指摘されている。」

簡単に言うと、正式な「教科」ではなかったため、あまり重要視されなかった。「登場人物の気持ちを考えましょう」という「読む道徳」が多かった、ということですね。

世界がグローバル化していく中で、文化や価値観が異なる人と接する機会はどんどん増えていきます。ときには利害がぶつかったり、「これが正しい」と一概には言えない状況も生まれるでしょう。



「これが正解」と決められていた「読む道徳」では、多様な価値観に対応することが難しくなります。「考える道徳」「議論する道徳」が求められるのです。
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