静岡聖光学院は中高一貫教育を行うカトリック系の男子校です。静岡聖光学院では2021年度よりプログラミング入試を行います。中学から段階的に、そして本格的にプログラミング・情報通信技術と知識を学べる学校です。
もし遠くにお住まいであっても、しっかりと管理された寮もあります。受験勉強を必死に詰め込み中高一貫校をめざす従来の「受験」から、新しいカタチの「受験方式」を実施する静岡聖光学院について、授業内容などにも触れながら詳しく解説します。
静岡聖光学院とは
- 中高一貫教育
- 男子校
- ミッションスクール
- 生徒寮あり
静岡聖光学院のプログラミング教育について
静岡聖光学院では、3年前より校内のICT環境を整備し、全校生徒がタブレット端末を利用しています。静岡聖光学院のデジタルテクノロジー教育は、創造性を大切にする「STEAM教育」の視点を基本としており、オリジナリティの強い学習カリキュラムが特徴です。Scratchとマインクラフトの授業は大人気!
さて、実際の授業の様子を少しのぞいてみましょう。初年度の授業では、まったくプログラミングを知らない子ども達が興味をもって学べるよう、マインクラフトのような人気のあるゲームを上手に利用しています。視覚的でわかりやすいScratchを活用することで「プログラミング」というハードルを下げ、ゲームやアプリ製作、ロボット、ウェブサイトの制作なども行っています。一見、いわゆるプログラミングスクールのような授業内容ですが、プログラミング言語を覚えることを第一の目的とはしていません。数学や理科、音楽や芸術といった教科をまたいで「プログラミング的思考」を育てること、さらには高校卒業時までに高いレベルのテクノロジーに関する理解力と技術を学びます。
静岡聖光学院のBIGIRION-Garageと新しい学びのカタチ
STEAM教育を独自に解釈し「美・技・理・音」BIGIRIONが静岡聖光学院の新しい「学び」です。BIGIRIONの学びをカタチにしたのがBIGIRION-Garageです。BIGIRION-Garageとは子ども達の好奇心を満たす最先端の空間です。プロジェクションマッピングもできる壁一面のスクリーンはもとより、3Dプリンターも完備。ここはかつてのGoogleやAppleがガレージで誕生したように、「自由な発想を実現するガレージ」でチェンジメーカーが育ってほしいという願いが込められた特別な空間です。
また、ここでは放課後にプロのエンジニアを招いた特別授業も開催されます。プログラミング言語を一律に学ぶのではなく、さまざまな体験と学習を通じて、プログラミング的思考を育み、さらには実践的な技術・必要なスキルと知識を身につけていきます。
ミニ四駆で学ぶ!子どもの好奇心から育てる探究心
中2の理科の授業では、ミニ四駆を制作します。男の子の大好きなミニ四駆も制作するだけでなく、なぜ同じマシン、同じキットで作ったミニ四駆がレースで「タイムの差」がでるのか。原因究明をすることが宿題として出されています。子どもの好奇心を上手に引き出しながら、同時に「原因と結果」を探求することが求められる、実はたいへん高度な授業内容となっています。
創造力を育てる充実した施設
静岡聖光学院中学プログラミング入試とは
試験内容 | ①プログラミング作品事前提出 ②提出作品に基づくオンライン面接 |
日時 | 作品提出:2020年11月23日(月)~12月15日(火) |
出 願:2020年11月23日(月)~12月15日(火) | |
プレゼン試験:2021年1月10日(日) | |
課題作品提出について | 以下を含むデータをWEB提出 ①プログラミングの実行動画 ②プログラミングのソースがわかるもの ③プログラミングの作品紹介テキスト(Word1枚以内) |
作品条件 ・本人がプログラミングすることにより制作されたもの、グループでの共同製作は不可 ・言語は自由 Scratchなどの言語でも応募可能 ・テーマ自由 *既にコンテストなどに提出した作品でもよい |
*詳細はかならず静岡聖光学院公式サイトの募集要項をご確認ください。
中学入試でプログラミングを採用した理由
静岡聖光学院中・高等学校情報科教諭 小森先生
通常の筆記試験では測ることができない、"創造性の振り幅"を測る試験を行いたいと思い、今回のプログラミング入試の実施に踏み切りました。使用するプログラミング言語も自由、作品のテーマも自由と子供たちの潜在的な発想力や創造力、思考力などの力を、プログラミングという一つのものさしで測りたいと考えています。また、入学後も学校生活やプログラミング授業を通して、他入試で入る生徒と互いに刺激しあいながら、更なる成長を見ることができると期待しています。
プログラミング入試で広がる可能性
中学受験でいったいどうやってプログラミングにより「合否」を判断するのだろうと保護者なら少し疑問に思いますよね。静岡聖光学院でも初めての取り組みになりますが、「プログラミング」という新しいものさしをつかって、なかなか見えづらい子どもの発想力や創造力を測っていこうという入試方法です。コエテコではプログラミングスクールの紹介などをしていますが、せっかく興味をもって学んだプログラミングや、ロボット制作を通して得た経験、Scratchを覚えたことも、一般的な「理科・算数」といった教科試験ではアピールできません。
静岡聖光学院のような特色ある入試方法で、子どもの得意とするもの、興味をもっているものにフォーカスをあてることで「中学受験のために、好きなこともあきらめて夜遅くまで塾に通うことに違和感を感じている」そんなご家庭でも、子どもの個性や特性に合わせた学校を選ぶことが可能です。プログラミングだけに限りませんが、いずれにしても入試の入口が広がることは良いことではないでしょうか。
日本のデジタル学習は遅れているからこそ
政府は現在、積極的にIT教育を推進しています。それは世界的に見てもこれだけ技術力のある日本といわれながら、ITスキルや知識は先進国の中でも低いからです。次の表をご覧ください。★のマークはOECD加盟国「毎日」「ほぼ毎日」の平均です。残念なことに、日本が学校の授業でデジタル機器(いわゆるタブレット端末など)の利用時間がもっとも短く、加盟国中で最下位です。これではなかなか子ども達がITスキルを身につけることはできません。
今後さらに必要とされるIT系の人材を育てる意味でも、早いうちからプログラミング教育が必要と認識され、小学校でもプログラミングが必修化されました。しかし現実には義務教育でもある中学校で、IT教育やテクノロジー教育を行っている学校はまだまだ少ないのが現状です。
静岡聖光学院は3年前からすでに生徒全員にタブレット端末を配布し、デジタル機器を利用した授業を展開しています。興味深いデジタル学習を実践し、成果をあげていることにも注目したいですね。
大学進学にも有利!プログラミングスキルを学校で学ぼう
プログラミングスキルを早くから学ぶことは、大学入試でも有利とされています。たとえば東京大学の学校型推薦入試の募集要項を見ると、理学部では- 科学オリンピック
- 高校生科学技術チャレンジ
- 日本学生科学賞
- 商品レベルのソフトウェア開発経験
上記は一例でしかありません。大学の入試においても、今後はさらにプログラミングスキルや情報技術の知識が重要視されていくことでしょう。プログラミング入試を中学から実施することは、時代の流れにそった当然の選択肢とも言えるかもしれません。
静岡聖光学院の新しいチャレンジは、プログラミング入試だけに限りません。入学後の幅広いSTEAM教育によって、子ども達の好奇心に答える形で「学びつづける」結果として、大学入試でも有利となることも、保護者の視線から見ると大きな注目ポイントではないでしょうか。